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眼の前に、側溝がある。覗き込むと、濁った水が流れを作っている。
水面に映った顔へ、何度も呑み込んだ物を吐いた。
「死ね」
今なら行ける、と思った。側溝の縁に手を載せる。
今なら行ける。今度は言い聞かせるように口にした。”手段”の中でもこうするのが最も苦しむといつか聞いたが、今はどうでもいい気さえした。
今なら行ける。
一生孤独で、いい。この流れの激しい水だけが、そっと僕の苦しみを共有してくれるから。
あたりを見回しても、人はいない。たとえ失敗に終わっても、無遠慮な同情に苦しめられたりはしない。
____やれる。
体重を投げ出した。
そこは、蛹の中だった。
もう吐きたくはならなかった。