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カナメ視点
女子高校生「ねぇあんた、カナメ…だよね?」
「…なんでここにいるの?…」
本当は雑にあしらいたい。けど、イズミにも迷惑かかるのだけは嫌だ。
女子高校生「やっぱカナメだったんだ!垢抜けててわかんなかった!久しぶりだね!隣は…」
「「イズミです。あなたもなんて言うんです?」」
女子高校生「そうだね。名乗ってなかったね!私はゆめ」
どうしてこんな所にこいつがいるんだよ…。友達かのように接してきやがって。
俺の事は汚らしい目で見てるし…なんの意図で近付いてきたのか…
ゆめ「あ!!ていうか、名前で思い出した」
「「………はい?」」
一瞬溜め息が聞こえたような気がしたが、返事が遅かったから、顔をイズミの方に向けると、先程まで俺と話していた笑顔などはどこにもなかった
ゆめ「イズミくんって中学の時結構有名だったよね?」
「「えぇ?笑 例えばどういう事で?」」
ゆめ「私他校だから、あんまり分かんないんだけど、結構な人気者とか…洞察力化け物とか!」
「「それで有名になれてたんだ 笑
俺気にした事なかったよ」」
ゆめ「うわぁモテそ〜!
“カナメとは大違い!”」
「「ははっ…笑」」
ゆめ「にしてもカナメ良い友達持ったね〜!私達から離れた高校に行ったのも友達が出来ると思ってなの?」
「別に…ゆめには関係無いだろ?
それに俺ら、今から始まる映画見るから、要件があるなら早く言って」
「「カナメ…。」」
イズミ視点
はぁ〜面倒くさい。どうしてこうも面倒くさいだ?
ゆめ「あ!ていうか、名前聞いて思い出した」
目の前のゆめって人は、ニコニコと偽りの笑顔を俺に向けて来ている。
その笑顔は、俺にとってはとても気色悪く見えた
どーせ中学の事だろう。もういいって、そんな話
あんな中学、答えたくもねぇっての
「「はぁ…………はい?」」
最近の俺はなかなかしない、句読点を打つような短く細い息を吐くようなため息をした。
これだけのため息は聞こえてないだろ…。
ゆめ「イズミくんって中学の時結構有名だったよね?」
「「えぇ?笑 例えばどういう事で?」」
ゆめ「私他校だから、あんまり分かんないんだけど、結構な人気者とか…洞察力化け物とか!」
あ〜、当たってる。俺他校からもそんな事実が広がってたんだ。そーいや、他校からも何か俺に対して来てたっけ。
「「それで有名になれてたんだ 笑
俺気にした事なかったよ」」
ゆめ「うわぁモテそ〜!
“カナメとは大違い!”」
…んだそりゃ。こいつ嫌い。
人と比べんの辞めてくんない?それに、俺カナメの事友達と思ってんのに、カナメがこんなの聞いたら辛くなるだろ…。
「「ははっ…笑」」
ゆめって人面倒くさ…
他校だったからよかった…
それに、
俺は結局いつ経っても偽善者で、嘘つき者だ
そして、カナメは普通に喋ってるけど、何か違う。顔色も顔付きも変わってないけど…ゆめとカナメに何があったんだ?
何となく色々考えていると、カナメが珍しく相手に突き放す言い方をして、驚いてカナメの方に顔を向けると、すぐにゆめの方から小声が聞こえ、不意に睨んでしまった
「随分と偉そうな…w」と、俺とカナメ以外聞こえないぐらいの小声で喋ったのを続けてカナメに喋りかける
ゆめ「要件は特にないけど、久しぶりにカナメ見たからさ!これを機に連絡先交換したくって」
「…」
ゆめ「するって言わないと、イズミくんにも噂立てるよ?」
「…!…わかった。連絡先交換しよ」
俺に聞こえないように耳元で喋ったか…
ゆめ「やった!」
((こいつの噂なんてろくな事じゃねぇ…初対面の人にでも簡単に変な噂を撒き散らかす。イズミには絶対させない。
俺だけ変な噂が撒き散ればいい))
ゆめ「よし!要件済んだし、ばいばーい」
「…イズミ。早く映画行こ。間に合わねぇ」
「「お、おう!!」」
俺には分かってた。カナメ、手がずっと震えてた。ゆめってやつと連絡先交換してる時で気付いた。何があったって言っても、大した事じゃねぇよ!って答えるんだろうな。
…俺にも分けてくれよ、お前の”何か”の苦しみ
「やっぱイズミが見たいって言ってる映画ってだいたい神だな!!」
「「そうか?wまた良いのあったら一緒に行こ!!」」
「うん!」
その後歩きながらカナメと色んな話をした。映画でこんな所が良かったとか、映画見て好きになったキャラとか。そして、カナメはあまり感情が顔に出ないようだ。あの時、本当は結構焦っていたらしい。それ以外はあまり答えてくれなかった。自分自身の話になるとカナメは、中々喋らなくなる。こりゃ相当時間かかるな
「「じゃ、俺こっちだから!」」
「またな!!」
カナメ視点
イズミと別れを告げて数分経って、
1人になれば自己嫌悪になってしまう自分が嫌で仕方ないが、自己嫌悪が続いていく
最悪だ。
せっかく離れた高校に行ったのに、あいつに出会うなんて。連絡先交換したってことはまた何かあるんだろうか…。
正直このままブロックでも非表示でもしても良い。けどそれをすれば、何されるかわかんない。
家に帰るのも面倒だな。帰ったって誰もいねぇし…今日は買い出しもゴミ出しも何も無いし。
そういや…早く母さん達海外出張から帰って来てくれないかな。
視点を下に向けていたのを前にして、左側に顔を向ければ、最近出来たような公園があった
…公園?こんな所にあったっけ?見た感じ錆びたものは見当たらないし、素材的に新品?最近出来たのか…。ちょっと寄ってみっか
俺が公園に寄った時間は19時過ぎだった。
夏だと言っても、今年は暑くて外に出たらたまったもんじゃ無い。だからこの時間は人が居なかった。
それに、今にでも雨が降りそうな天気だしな。
あっちぃ…。新しい公園ってこんなに綺麗なのか?ブランコに乗って風に当たるか…
ふと、ブランコ台を眺め、忽ち絞首台を思い出した。
ブランコ台に浅く座り、軽く足を前に蹴った
ブランコって意外と小さいんだなって思った。
俺が大きくなった証拠か
…母さん達は大きくなった俺に何か言ってくれるだろうか。
そもそも、俺の事愛しているのか?
海外出張の前でも、褒める事は少なく、家事を何か1つ完全にできるまで永遠にやらされた…
酷い時には殴りもされた。
あとは…何されたっけな。いつから海外出張だっけな。中1ぐらいからもう居なかったな。でも、母さん達の海外出張を見送る時、抱き締めてくれたっけな?そもそもどうして海外出張…?…やめだやめ!こんな事考えてたらおかしくなる。
ハッとした時には、雨に打たれて雫が髪から頬へと伝っていくのがわかった
…いつから雨降ってたんだろ
もうこんなに濡れてんなら、急いで帰っても変わらないか。少し回り道して帰るか
公園から出て、少し歩いた先に高身長の金髪で見た事あるような人がキョトンとした顔でこちらへ話しかけてくる
「「あれ?カナメ?」」