「ギャアアアアア」
廊下から悲鳴が聞こえる。
今は授業中のはずで。本来は静かなはずなのに。
何をやっているんだ。と、うちの教室からも授業を止め担任が廊下へ出る。
「マッシュ・バーンデッドがまたやらかしたらしい」
そんな噂はその日のうちにすぐ回った。
マッシュ・バーンデッド。
ドット・バレットと交友関係があったはず。
何をやらかしたのだろうか。
気になりマッシュ・バーンデッドのクラス、D組へ向かった。
D組で問題が起きることは滅多にない。
ヤンキーと呼ばれるような輩は不登校の生徒と共にE組に配置されるからだ。だからただ単に成績の振るわない一般の生徒たちの集まりなのだ。
D組の廊下の前で生徒を呼び止めマッシュ・バーンデッドを寄越すように指示する。するとマッシュ・バーンデッドが中からのこのこと顔を出した。
「お前がマッシュ・バーンデッドか。」
「うす。あなたは?」
…俺の事を知らないのか。
ナルシストな訳では無い。が、俺の名前を知らないやつはこの学校にはなかなかいない。
普段の成績からか容姿からかは知らんが女子を中心に入学した時からよく話題には上がっていた。
まぁいい。
「俺はA組のランス・クラウンだ。よろしく。」
「ランス…?ああ、フィンくんが言ってた人か。」
フィンくん。そうか、こいつはフィンと仲がいいのか。
「そうだ、マッシ…」
「あ、筋トレの時間だ。ごめんなさい。ちょっと忙しいです。」
「は…?」
マッシュはそう言い勢いよく走り去って行ってしまった。
結局ドット・バレットについては何も聞けなかったな。
そう思っているとちょうどそこに赤髪の派手なやつがいる。
いた。
「ドット・バレット…!」
「あ?」
思わず腕を掴んでしまった。
あ、やばいかもな。
そういえばこいつは先輩と喧嘩をするようなヤンキーだったな。変に絡んでしまった。が、まぁ、もう後には引けないから仕方がない。
「お前、ランス・クラウンだろ?頭と顔が良いやつ。俺に何の用だ?」
想像とは打って変わって至って普通の言葉だった。多少口調は荒いが男子高校生ならこのくらいであろうというものだった。
予想外の第一印象に頭が回らなくなってしまう。こんなやつが上級生と喧嘩?むしろ先輩に懐いて犬のように着いて回るイメージしか湧かない。
そんなことを考えていると急に衝撃が走り視界がぐるりと回る。
何が起きた…?
ジンジンと痛むのは頬で、見上げた先には拳を構えているマッシュ・バーンデッド。
そのことから考えられるのは一つ。
マッシュ・バーンデッドに平手打ちをされて飛ばされた。
「僕の友達に何やってるの?えーっと、ランスくん?」
コメント
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マシュドトだと勘違いしそうだったwww