俺は今日から高校生だ。はっきり言って憂鬱だ。受験期に勉強を頑張り偏差値の高い高校に合格出来たはいいが、はっきり言って上手いことやっていけるか不安だ。それにインテリ系の真面目くんばっかりかもしれないと思うと、面白い奴はいるのかと幸先が不安になる。中学の頃ほど、面白いことは無いのかもしれないとそう思っていた。ぼやきながら歩いていると、
朝1番学校の前で目に飛び込んできた光景を見て俺はとっさに近くの茂みに身を隠した。
それと同時に先程までの心配は必要無かったと気づかされる。
何を隠そう目の前には、俺の幼稚園からの
幼馴染氷川光太がいた。それもとてつもない美少女を連れて。「あいつまたやっちまったのか?あの子も気の毒だな」ため息混じりに1人で呟く。そんなことを思っていると2人が解散して光太が1人になった。それを見計らって俺は草むらから飛び出す。
「光太、おはよう!」
「え!?どこにいたの?雄一!」
「さあ、どこだろうな」少し微笑みながら言葉を交わす。「学校、行こうぜ。」「そうだね」
こうして早速いい意味で期待を裏切られながら俺、平野雄一《ひらのゆういち》の高校生活が始まった。
────「お、高校でも同じクラスだな。」
僕の親友の雄一は玄関の前に張り出された紙を見ながら言う。「これでまずは一安心だね、教室いこっか」友達が出来るか不安だった僕にとってそれはかなり重要なことだった。
「あ、やっぱり先行ってて」「おう、なんか用事でもあるのか?」「ちょっとね」
さっきの子はどのクラスだろうと考えながら、葉月結羽の名前を探す。だがどこにもない。おかしいなとは思いながらも校門から大量の人が押し寄せて来ているのを見て、教室に向かうことにした。「朝のは幻だったのかも」と少し残念そうに呟いてみた。
「────────────────────────────────────────────────────────────────────この学園の生徒であるという責任と誇りをもち誠実な行いを心がけ充実した高校生活を送ってください。」憂鬱な長い話がようやく終わった。憂鬱とは言ったもののこのながーい話を聞くと今から始まるんだなと実感が湧く。入学式を終え教室に向かう。1年生が1番初めに退場だったため2年生と3年生の間を列を整えながら帰ってゆく。
そこである1人の美少女と、朝にもよく見た女の子と目がぱちりと合う。「あっ、」と声が漏れる。しかし後ろにも人がいるので足を止める訳にはいかなくてそのまま歩く。そうか、先輩だったのか、それは名前を探してもどこにも無いわけだと1人で納得する。そこで少し焦りも生じる。あの人が先輩だとしたら、、、朝、ちょっと生意気なこと言いすぎたかも!!
僕が抱いていた期待と希望は、言葉にできない焦燥感へと形を変えながら、高校生活怒涛の一日目が終わりを告げた───────────
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