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「涼ちゃんってさ、若井と付き合ってるの?」元貴が眉に皺を寄せながら聞く。
「えー付き合ってないよ、僕の片想いかなぁ笑。」
「でも、今日だって若井の家泊まるんでしょ?」
「んーまぁね。」
付き合ってない、僕と若井って一体なんていう関係なんだろう。
・・・セフレでもないし、恋人でもない、お金の関係でもない、友達以上恋人未満と言われてもしっくり来ない。
キスだってハグだってするもん。
そりゃ付き合いたいし、本命になりたいけど、もしかしたら、若井はそんな気ないかもしれない。
「ね、若井ってさ、僕のこと、どう思ってるんだろ・・・」
「そんなの、俺に聞かれても。」
「涼ちゃんがどう思ってるかどうかでしょ。」
「僕は好きだよ・・・若井のこと。」
そっか、僕って若井のこと大好きなんだ。
自分で言って自分で納得した。
「じゃあ、若井もそう思ってるんじゃない?」
「それはないと思うけどな。」
「だって、遊びじゃん、若井モテるし、僕には似合わないよ。」
「じゃあ、若井取られてもいいの?」
「ほら、少なくとも今んとこフリーだから涼ちゃんとこうやって、デートとかしてるんでしょ?」
そっか、若井は遊ぶような人には見えないし、フリーかもしれないんだ。
それとも、僕の気持ちに気づいて優しさで僕に構ってくれてるだけかも。
いやでも、大人ってキスとかハグとか普通にノリでするものなのかも。
「元貴はさ、大人ってノリでキスとかハグとかするものだと思う?」
「思わない、和也とは、告白された時に初めてした、けど和也、真剣だった。」
「まぁ、人によると思うけど。」
「そっか、そうだよねー。」
若井はどうなんだろ。
《若井家》
「お邪魔します。」
「いらっしゃい、涼ちゃん、荷物預かるから、手、洗っておいで。」
「うん!」
なんか、いつもより緊張する、元貴とあんな話したからかな、どう思われてるか、いつも以上に考えちゃう。
ふと考えついて、モヤモヤを解消するために、若井のLINEを開いて、”僕のこと、どう思ってるの?”と打ち込む、勿論送ったりせず、直ぐに消す、気持ちを整理するための単なる方法だ。
その、つもりだった。
なのに、あ・・・!
(送られてる、え、なんで、なんで!?)
送信ボタンを間違えて、押していたみたい。
(ヤバい、取り敢えず削除!!!)
パニックで手が震えて、上手く操作出来ない、アタフタしているうちに既読がついてしまった。
が、その直後にメッセージの送信を削除できた。
一応、”ごめん、送り先間違えた笑”と、送る。
焦りを洗い流すように手を洗い、若井の元に帰る。
「ごめん、間違えちゃった。」
そこには、画面に食い入るようにして、真剣に見つめている若井の姿があった。
「涼ちゃんって好きな人居たんだ。」
「滉斗は、居る?」
「うん、居るよ。」
胸がチクリと痛む。
「そっか、どんな子?」
「顔も、性格も全部可愛いし、繊細で守ってあげたくなるかな。」
「溺愛されてるね、その子。」
羨ましい。
ただその一言に尽きる。
「じゃあ、僕の事なんて構ってないで、クリスマスデートとか、誘わなきゃじゃん、ほら、もうすぐだし、誘った?」
「誘ってないよ。」
ちゅっ、といつもの様に唇をくっつけられる。
カッと、血が上るように顔が熱くなっていく。
滉斗が優しく唇を離して、ゆっくり、優しい声で話し始める。
「あのさ・・・。」
「大好き、涼架。」
「だから、涼ちゃんの恋も応援するけど、俺の事も見てね?って、 本当は、もっと早く言うべきだったよね。」
滉斗が、僕のこと・・・好き?
「本当?」
コクと、滉斗が首を縦に振り、真剣な眼差しでこちらを見てくれる。
滉斗の気持ち、嬉しい。
僕も、伝えなきゃ、この気持ち。
「涼ちゃんよりも俺の方が先に、好きな人に気持ち伝えた、俺が1歩リードだね?笑」
滉斗は、笑っているけど、凄く寂しそうで、悲しい表情を浮かべている。
「ごめん、今日はもう解散にしよっか。」
と、滉斗は言いにくそうに呟いた。
「・・・待って、僕の気持ちも、聞いて?」
「僕も・・・好きです。」
顔が熱くなっていく感覚が自分でも分かる。
心臓がバクバクと音を立てている。
「さっきの、LINEも本当は・・・滉斗に思ってたこと。」
「でもね、送ろうとしてた訳じゃなくて、気持ち整理しようと思って、文字を打ち込むだけで、送信はしないつもりだったんだ。」
「だから、間違えて送っちゃった時、焦ってて咄嗟に嘘ついちゃってごめんなさい。」
滉斗の目が見開いて、暫くして、嬉しそうに笑う。
「そっか、涼ちゃんが言ってた好きな人って、俺?」
「うん。」
こんなところで僕の気持ち伝えれると思ってなかったからすっごい照れる。
「涼ちゃん、好きです、俺と付き合ってください。」
「はい、お願いします。」
ぎゅうっと抱きしめられて、幸せに浸る。
今までとは違う、強くて、優しくて、暖かいハグ。
「涼ちゃん、可愛いね。」
「滉斗も、格好良いよ?」
そんな事を延々と言い合いながら、時間が過ぎていく。
「好きになってくれて、ありがとう、滉斗。」
「こちらこそだよ、溺愛させてね。」
その夜は冬の白銀の月が綺麗だった。
初投稿なので、 誤字脱字、分かりずらい所あると思いますが、読み飛ばしてくれたら嬉しいです。
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