入学してから1年間は友達ができなかった。
2年生になってようやくできた友達がふわっちだった。ふわっちは俺のほうによく来てくれて嬉しかったし、3年生になってクラスが別れたのはそこそこに悲しかった。でも、俺は恋をした。叶という存在に惹かれた。だから付き合ってほしいとお願いした。そうしたら告白の返事はまさかのOK。心底嬉しかった。
「 ずはー 、帰ろー 」
「 ソリ、今日叶とかえっから。 」
ふわっちと帰っていた帰り道は叶との帰り道になったし、ふわっちとよく行ってたカフェは叶とのデートの待ち合わせ場所になった。(まだ一回しかしてないけど)付き合った日、次の日と連続で帰れて嬉しくてたまらなかったし、雰囲気に任せて付き合った次の日にそういう関係にまで至った。嬉しいようで、泣きそうになりながらも快楽に身を任せた。
次の日、というか今日は一緒に帰れなかった。叶に予定があったらしい。俺はそこら辺は別にいいかなと思い、先に帰る叶の後ろ姿を見て、明日は帰れるかな、なんて考えてた。ふわっちも先に帰ってしまったし、なんだか1人になったけど、別に気にしていなかった。帰り道、赤信号待ち。そこで叶を見つけた。手を振ろうか迷ったが、やめて青信号になるのを待った。青信号になってから小走りで叶のほうに行く。その途中にふわっちと話していることに気が付いた。
「 僕、ふわっちが好きだよ。 」
そんな言葉をふわっちにかけながらふわっちを抱き締める叶を見た。目の前で。なんで、そんなことすんだよ。叶。
「 … 、ッ 」
涙が滲んで前が見えなくなったから咄嗟に走り出した。叶はふわっちが好きだったんだ。それなのに俺と付き合ってくれてたんだ。運動を普段あまりしない俺の限界の速度を出しながら限界まで走った。遠くまで来たときにはもう涙は目から溢れ出していた。
これが叶へ恋心を抱いた俺の最後なのか。
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