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あれから、私は探した。
すみれの連絡先も住所も、完全に遮断されていた。
SNSも、新しいアカウントらしきものは見つからない。
でも、あの手紙には“意図的な白紙”があった。
見慣れた切手。
わずかなインクのかすれ。
手紙を包んでいた、薄紫の便箋。
あれは、あの部屋でいっしょに買ったものだった。
――つまり、あの近くにまだ“いる”。
私は、夕暮れの街を、あてもなく歩くようになった。
同じ風景、同じコンビニ、同じ団地。
“偶然”を装って、
“必然”を探しながら。