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182
箱根
戦いから数日後。都内某所にある居酒屋では、壮絶な戦いの後とは思えないほど賑やかな声が響いていた。「ちょ、大阪さん!それ僕の餃子!!さっきから何個食べてんの!!!???」
さいたまが小皿を死守しながら叫ぶ。
「ええやんか、ケチ臭いこと言わんと。俺は今回のMVPなんやから燃料補給が必要やねん。なぁ、横浜?」
「あ?俺の倍は動いたってのか??笑わせんな。オイ、ビール追加。大ジョッキで頼むわ。」
横浜は既に出来上がっており、ネクタイを少し緩めて上機嫌に酒をグイッと飲み干した。
「まぁまぁ、皆さん。今日は僕の奢りじゃありませんけど、緑茶割りでも飲んで落ち着いてください」
静岡がニコニコしながら、グラスに緑茶を注いで回る。
「おまっ……酒の席でまで茶推してくるって、相変わらず恐ろしい執念だな……(汗)」
名古屋が苦笑しながら、手羽先の骨を山のように積み上げていた。
そこへ、少し遅れて東京がふらりと現れた。
いつもの完璧なスーツ姿ですが、少しだけ目の下にクマがある。普段よりかは幾分かマシなようだ。
「……お、主役が来たね。東京さん、こっちだよ〜」
浜松が手招きすると、東京は露骨に嫌そうな顔をして、さいたまの隣に腰を下ろした。
「……何ですか其の緑色の液体。毒??」
「静岡君特製の緑茶割ですよ!東京さんも飲んでください、はい!!」
さいたまに無理やりグラスを握らされ、東京は渋々一口飲み「……悪くない」と小さく呟いた。
「で、東京さん。今回の件、結局『赤い風船』の正体は何だったんです?」
浜松が、ピアノ線を片付ける手を止めて尋ねる。
一瞬、宴会の席が静まり返り、東京はグラスを見つめたまま、淡々と答えた。
「……ただの『忘れ物』ですよ。捨てられた古い地名とか、名前も残らなかった小さな村の記憶とか。それらの負の感情が集まって、私への『嫉妬』になってしまった。」
東京は少しだけ寂しそうに笑い、すぐに元の不遜な表情に戻る。
「まぁ、私が魅力的すぎるのが悪いんですけどね」
「「「「「……はぁぁぁぁぁ!!!!????」」」」」
横浜の怒りが燻り始めた目や浜松の本気で引いたような目が一斉に向けられ、口々に悪口が飛ぶ。
「自分、ほんまそういうとこやぞ!」
「あーあ、助けなきゃよかった。返品していいっすか?」
「名古屋、アイツの双剣でちょっと突ついてやって」
「三大都市(小)」
「……五月蝿いですね。助けてくれたことには感謝してますって。ほら、これは私からの『お礼』。受け取ってください」
東京がテーブルの上に置いたのは、都内有名店の高級菓子……ではなく、「次回の予算会議・優先承認枠」と書かれた封筒だった。
「「「「「……東京(さん)大好き!!!」」」」」
現金な政令指定都市たちは、一斉に封筒に群がる。
「さっすが東京、話がわかる!!横浜、その枠は俺のだぞ!」
「大阪さんはさっき僕の餃子食べてたじゃん! 此れは僕のだよ!!」
乱闘(二回戦)が始まる中、浜松だけがグラスを東京のグラスにカチンと合わせた。
「お疲れ様、東京さん……また明日から、忙しくなるねぇ」
「……貴方達に追い抜かれないように精々こき使ってあげますよ」
夜は長く、居酒屋の光が消える兆しは未だ無い。
END
コメント
1件
ああっ、この後日談めっちゃ好きです……!戦いのあとの居酒屋シーン、キャラみんなの掛け合いが生き生きしてて、読んでて思わず笑顔になりました😂 静岡くんの緑茶推しとか相変わらずだし、東京がケチな顔しながら飲むところとか最高。最後の封筒の展開、みんな現金すぎて笑ったけど、でもそういう距離感がこの作品のいいところだなって。疲れたあとの温かい夜って感じで、じんわりきました……お疲れ様でした🌙🤍