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「僕でよければ、力になりたいです」
「じゃあ・・・また、お話ししてほしいです」
少し間を置いてから届いたリヴァさんの声は、最初の頃のぎこちなさがほどけて、どこか頼るような柔らかさを帯びていた。
その響きが耳に残り、胸の奥にゆっくりと広がっていく。
「もちろんだよ。」
自然と笑みがこぼれ、声もやわらかくなる。
そのあと、少し他愛のない話をして電話を切った。
いつもなら眠りにつくまで時間がかかるのに、今夜は耳に残った彼女の声が、静かに子守唄のように響き続けていた。
昼過ぎにスタジオ入りすると、すでに若井と涼ちゃんがセットリストを確認していた。
「おはよー。」
二人に挨拶をする。
「おー、珍しく機嫌よさそうじゃん」
若井がニヤつく。
「声の調子からしてわかるって、なんかあったでしょ〜?」
涼ちゃんが笑う。
機材の準備をしながら、何気なく口をついて出た。
「ゲームで知り合った子がいてさ・・・」
その瞬間、二人の動きが止まった。
「おいおいおい、待て待て。なんだその爆弾発言」
若井がギターを置く。
一気に若井少年の趣になる。
「え、もしかして彼女できたの?」
涼ちゃんが片眉を上げる。
「ちがうって。ただ、ちょっと話すようになっただけ」
「“ちょっと”でそんな声が軽くなるわけ〜〜?」
若井が高校生みたいなノリで絡んでくる。鬱陶しい。
「でもさぁ元貴、こういうの話すの珍しくない?」
「・・・別に深い意味はないよ」
「でも元貴、一応言っとくけど立ち位置的にミュージシャンなんだから気をつけないと。変な噂になったら収集つかなくなっちゃうし。」
「そうそう。まあ、俺らは応援するけど・・?」
若井がニヤリ。
「勝手に応援しないでよね、岩井」
「岩井じゃないし!若井ね?!」
若井の横でため息をつきつつ、心のどこかで悪くない気分になっている自分に気づいて、苦笑いをこぼした。