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naru
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おりんの流した噂は、またたく間に郭の男たちの間に広がっていった。 咄嗟の嘘が得意なおりんが、客の耳元で「実はね……」と囁いた作り話は、男たちの口を伝うごとに尾ひれがつき、おぞましい怪談へと姿を変えていく。
その様子を、格子戸の裏から冷ややかに見つめる目があった。遣手婆である。婆は、この噂の出どころがおりんであることも、それがおさくを蹴落とすための姑息な罠であることも、すべて見抜いていた。しかし、止めようとはしない。ただ静かに、その顛末を見守っていた。
ところが、おさくは並の遊女ではなかった。 噂を耳にしても、おさくはいつもの慈悲深い笑顔を崩さない。それどころか、彼女はその「嘘の化け物」を、自らの最大の武器へと変えてみせた。
「……お前さん、私のことが、そんなに恐ろしいの?」
おさくは部屋の行灯を薄暗く落とし、影を深くした。白粉の白さが闇に浮かび上がり、その瞳がいつもより妖しくきらめく。 怯える客の胸元に、しなやかな指先を滑らせ、その耳元でふっと熱い息を吹きかける。
「真実に生気を吸い尽くされても……後悔はなさいませんか?」
ぞくりとするような妖艶な微笑み。男たちは恐怖を忘れ、その圧倒的な色気に狂った。「化け猫でも構わない、おさくに吸い殺されるなら本望だ!」と、男たちは逆に独占欲を爆発させ、競うようにおさくの部屋へ通い詰める。 おさくの売り上げは、以前にも増して跳ね上がり、郭の誰もが彼女の器量に敵わないことを思い知らされた。
コメント
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あおいです📚 「嘘の化け物」が逆におさくさんの武器になる展開、痺れました…!「真実に生気を吸い尽くされても……」って台詞、色気が凄くて何度も読み返しました。噂の出どころを見抜きながら止めない遣手婆のスタンスも気になります。おりんの思惑がまるっと跳ね返る痛快さと、おさくさんのしたたかな魅力がたまらない回でした。続きが楽しみです🌷