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???「次はこの方の裁判ですね……」???「えーと次は……」
ここは、冥府。次の裁判の準備をしているのは、「紫雲雨花」と「不山橙」である。
橙「次はこの方ですね……お名前は……」
雨花「…………緑野純太(みどりのじゅんた)」
橙「男性ですね。もうすぐ到着するそうです。」
雨花「…………」
橙「……?どうかしましたか?」
雨花「ん?何でもないよ!早く裁判の準備しなきゃだね!」
橙「え、えぇ……」
「(明らかに今話を逸らしたような……?)」
と考えつつも橙も準備を続ける。
橙「被告人到着しました。」
純太「ここは……?」
橙「ここはあの世です。あなたは今から裁判を受けるんですよ。」
純太「裁判ってことは閻魔がいるってことか?」
橙「えぇ。あの方が閻魔です。」
純太「!」
橙「?どうかなさいましたか?」
純太「お、お前、黒花か?」
橙「え」
純太がみた先には雨花がいた。
橙「黒花って……あなたなぜその名を?」
純太「いや、だって……」
純太は、口をモゴモゴして話を続けようとしてるが中々出来なかった。
雨花「わたしの元彼」
橙「あぁなるほど元かr……ん!?元彼!?」
雨花「緑野先輩よく私の事覚えてましたね。」
純太「そりゃあそうだよ。お前のこと本当に好きだったんだから」
雨花「ふーん、そ。」
橙「ちょっと待ってください!!雨花さん恋人なんていたんですか!?!?」
雨花「ん?まぁね」
橙「えっそれはどちらから……」
雨花「とりあえず、裁判続けよっか。」
橙「あ、はい……」
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橙「で?どういうことなんです?」
雨花「どういうことも何もそういうことだよ。」
裁判後、雨花は橙に質問責めにされていた。
橙「まずどちらからその……告白したんですか?」
雨花「わたしから」
橙「えっ!?雨花さんから!?凄い意外です……てっきり相手からだと……好きだったんですか?」
雨花「その時はね。」
橙「でも、さっき緑野さん「お前のこと本当に好きだったんだから」って言ってたってことは……?」
雨花「私が振った」
橙「何でふったんです?」
雨花「幸せになって欲しかったから。」
橙「幸せになって欲しい……?」
雨花は遠くみつめながらどこか懐かしそうな目をして言った。
雨花「わたしは周りにいた人たち全員傷つけ続けた。苦しめ続けた。そんな奴が人と付き合って良いわけない。わたしとなんて一緒にいたら絶対傷つける。そしてわたしはそう考えるようになった頃にはもう「人をそういう意味で好きになる」っていう感覚が全く分からなくなった。相手のことが好きじゃないのに付き合うなんて失礼でしょ?だから振ったの」
「まぁでも……」と雨花は話を続ける。
雨花「こんないかにも相手のこと考えてますみたいな発言してるけど、わたしが幸せかどうか決めるんじゃなくて相手が自分が幸せかどうか決めるんだし。わたしがしたことはただ自分が嫌われるのが嫌なだけでしてしまったことなんだけどね。」
橙「…………」
橙「(あの方の手をみて、雨花さんが裁判したことによると雨花さんと緑野さんが付き合ってた頃は14歳から16歳……雨花さんが一番絶望の沼に取り込められていた時……その時にはもう自分の感情が分からなくなっていた……まだそんな若い頃から感情が分からなくなっていたなんて……)」
雨花「橙ちゃん。でもあの人すごく優しい人だったよ。暖かい人だった。そんな人にわたしは嫌われたら、もう自分なんてもっと何も分からなくなってたと想う。そしてあの人みたいに優しい人には本当に幸せになって欲しい。わたしとなんて一緒にならず、もっと優しくて病んでも無理せず元気になれるそんな普通の子と一緒になるべきだよ。わたしと一緒にいたら絶対疲れる。」
橙「そんなの分からないじゃないですか……」
雨花「ううん。今までずっとそうだったから。例えわたしと一緒にいることがあの人とって幸せでも、その幸せは人の不幸の上に成り立つものなんだよ。わたしが不幸にした人たちの上に。そんな誰かが苦しくなる幸せなんてわたしは要らない。そんな幸せは絶対認めない。」
橙「でもそんなこと言ったら誰も幸せになんてなれないですよ……!幸せになるって絶対誰かの不幸が隣り合わせになるものだと想います!!」
雨花「それでもだよ。わたしは誰かの不幸が隣り合わせの幸せなんて絶対要らない。そんなもの要らない。だからこれで良いの。あの人も寿命いっぱい人生を歩いたみたいだし、これで良いの。」
橙「…………そんな……じゃあ雨花さんは……!」
雨花「はいこの話はこれで終わり!もう終了!」
雨花は部屋から出ようとする。その背中に橙は言葉をぶつける。
橙「雨花さん……あなたはどうして…………そんなに自分の幸せを……望まないんですか……?」
雨花は振り向かず言った。
雨花「人を傷つけたらもう戻れない。その傷はもう二度と元に戻せない。傷をつけることで「この人みたいにならないようにしよう」「この人みたいな人に近づかないようしよう」とか性格を変えてしまう。ならわたしはその変えてしまった罪や傷つけてしまった罪をずっと抱え続けて、自分の罪の意識を感じ続けて、後悔をし続けて、自分の想いを本来なら殺し続けなくちゃいけないことを自分に想い知らせ続けないといけない。それぐらいとひたすら謝り続けることぐらいしかわたしにはできない。」
そして雨花は、振り向いて満面の笑顔でこう告げた。
「「わたしは幸せになんてなっちゃダメなんだよ!」」
橙「!、雨花さん待っt」
雨花はこう告げると、橙をみることなく部屋から出て行ってしまった。
橙「雨花さん……それでも私は……」
橙は雨花が出て行ったドアをじっとみつめた。その視線には少しの透明の血が含まれていた。