テラーノベル
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暗い暗い闇の中で、私は目を、耳をふさぎ続ける。
このまま、ずっとここにいないといけないの?
でも、戻ったところでタツミのいる世界じゃない……。
「カナちゃん」
また誰かの声がする。女の人?
「この光がカナちゃん?」
私の目の前に、誰かが立つ気配がした。
「……誰?」
耳に当てていた手を外す。目はつぶったまま私はその人に問いかけた。
「あなたがカナちゃん?」
「……そう。私はカナ。あなたは?」
「私はリサ。石井莉沙よ」
イシイリサ。もしかして、私みたいに喚ばれたもう一人の女性?
名前はとても日本人みたいだけれど。
「日本人?」
私は、声の主に聞いた。
「そう。私は日本からここにきた。あなたと同じ」
私と一緒。でも、この人は第二王子様と婚約したんだよね――。だから、帰り方なんて、考えないんだろうな。
「……帰り方を知ってる?」
「ごめんね、私はここにきたばかりで。私も帰り方を探しているところなの」
ほらね、やっぱり。あれ? 帰り方を探している? 何で? 婚約した王子様は? どういうこと――。まだ別に誰かこの世界にきた人がいるの……?
「カナちゃん、一緒に探そう。帰る方法。だから私とお話、しよう! 聞きたいこともあるし」
信じていいのかな。私、帰れるのかな。
「……うん。リサさん、約束よ。帰る方法一緒に探してね」
考えたって、他人の考えることはわかるわけない。なら、探そうって言ってくれるんだ。私は、信じて、リサさんともとの世界に帰るんだ!
「ギューィギューィ、セイジョフッカツゼツボウセズセイジョフッカツ」
またあの暗い声が耳障りな音で、叫ぶ。
「シッパイシッパイ」
失敗って、何の事だろう。私はゆっくりと目を開けた。
誰もいない――――。
目の前に、私が寝ている。幽体離脱っていうのだろうか。
「カナ、戻れるか?」
「……その声はライト?」
「あぁ」
「……戻れるわ」
こういう時は、魂と体を重ねて元にもどれーってすればいいのよね。私、死ぬわけにいかないもの。
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ムメイ
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耀聖(ようせい)
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自分の体に近付いて、私は勢いよく重なる。
もとに戻れと願いながら。
私は寝てる暇なんてない。帰れるかもしれない希望が出来たんだ。
リサさん、約束だよ――。
「カナ! 目が覚めたのか!」
私が目を覚ましたことをすぐに側にいた人がカトルに知らせに行ったみたい。
というか、外が暗い。何時なの?
「大丈夫か? 何があったかわかるか?」
「あの、カトル、痛いです」
「あ、あぁ、すまない」
ぎゅっと抱き締めてきた腕の力を緩めて、カトルはこちらを見る。
「急に倒れて、心配したんだよ」
やっぱり、あの時私倒れたんだ。それで――。
「カトル!」
急に私が名前を呼んだことに少し驚いた表情を浮かべたカトルは、すぐに普段の顔に戻し聞いてきた。
「なんだい? カナ」
「イシイリサさんを探して! 私と同じ日本人の!」
カトルの眉が少しだけ動いた気がした。
「もう一人の女性は、私みたいに黒い髪で黒い瞳じゃない? もしかして――」
「カナ、何があったかわからないけれど落ちついて。イシイリサだね。わかった探す。だから、もう私を――」
カトルの言葉がつまる。私を? 続きは何だろう。彼は何が言いたいの?
「カトル?」
顔を傾けて訊ねるけれど、続きの言葉はなかった。
「カナ」
手をぎゅっと握られる。放してほしいけれどどこか悲しそうな顔をするカトルのことが、迷子の子どものように見えてしまって少しだけと自分に言い聞かせ我慢した。
少しの沈黙のあと、彼は立ち上がり言った。
「朝からは前に言っていたパレードだ。カナ大丈夫か? 無理なら――」
そうだ、パレードの日だ……。あんなに沢山の人達が準備しているのに、私一人のために――。
「大丈夫。朝まで休めば問題ないよ」
少しだけ悩んでいるみたいだったけど、すぐに微笑み、彼は労るように言う。
「わかった。無理だけはしないでくれ」
「はい」
「また朝に迎えに来る。深夜に部屋を訪れてすまなかった」
そう言って、カトルは部屋を出ていった。
「カナ」
「ライト?」
「リサは、近くにいる。召喚された女性だ」
「そう……」
カトルは、探すと言っていた。つまり彼女に会わせたくないということなのかな。
どうして、そんな事をするの――?
「リサは、カナと違って、聖なる力も魔なる力もある」
「えっ、それじゃあ」
「どちらの力も持つ完全な聖女だ」
…………。カトルは、どこまで私に嘘をつくんだろう。私を守るため? 偽物なのに?
「そう――――」
寝ていたからなのか、眠れそうにない私は前みたいに、魔力を使う魔法を使う。
「ライト」
ポゥッと、光が現れてゆっくりと室内を照らす。
たったこれだけなのに、もう眠気が来た。
「ホント、全然ダメダメだね……」
明日は、パレード。だけど、その主役は偽りの聖女様。
「私は、どうなっちゃうのかな――」
ゆっくりと、瞼を閉じて思考を止めた。考えたってわかることではないから。
コメント
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うわあ……また深いところに来たねこの話🥀 カナ、暗闇の中で出会ったリサさんに「一緒に帰ろう」って言われた時の、あの迷いと希望が混ざった感じ、すごく伝わってきた。でもカトルの様子……リサさんを探すって言いながら、なんだか隠してる感じするよね。偽りの聖女って自分で言っちゃうカナが切ない……最後の「どうなっちゃうのかな」が胸に刺さるよ。 パレード、どうなるんだろう。続き気になる🌙