テラーノベル
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建物中に入ると、中は意外なほど広く、正源が見た事もない大きな機械が何種類も並んでいた。作業服の男はそのまま建物の中を通り抜け、これもだだっ広い草がところどころに生い茂った野外のスペースに出た。
どうやら廃棄物の分別を行う場所らしい。風が吹きっ晒しで通り抜ける空き地のような何もない場所の中央には数メートル四方、ブルーシートで覆われた部分があった。
正源と浄源は作業服の男に促されて、ブルーシートで覆われた地面の傍に立った。その周りに十人の、薄汚れた作業服の男たちが近づいて来た。最初の作業服の男が言った。
「私はここの現場監督みたいなもんでしてね。いえね、本当はお坊さんに見せられるような代物じゃないんですがね。おい、みんな!」
男が手を振って合図すると、四人の作業服の男たちが近づいてきてブルーシートを四人がかりで地面からめくり上げて端に畳んだ。正源の目が驚愕で丸くなった。
「これは……死体?」
地面には六体の全裸の女の体が並べて置かれていた。だが、目を凝らして見るとその顔、特に目が、人間のそれではない事に気づいた。
正源は一番近くにあった一体の傍にしゃがんで手足に触れてみた。近くでよく見ると、確かに人間そっくりの外見だが、人工的過ぎる。
今の時代、仏僧とて女を知らぬ身ではなし、若い女の肌の質感も身を以って知っている。生きた人間の女の肌にしては、表面が滑らか過ぎるし、白過ぎる。
さらに他の物を見回してみると、全てが十代、まあ、二十歳ぐらいの女性の体を模した精巧なヒューマノイド型ロボットだという事が分かった。
正源が状況を理解したらしい事を察した、作業監督の男が、説明を始めた。
「供養していただきたいのは、これなんで。ご覧の通り、アレ用のロボットでしてね」
「性風俗用の、という意味ですか?」
正源は顔をしかめながら訊いた。所長も顔をしかめながらうなずいた。
「十中八九、東京から運ばれて来たもんだと思いますがね、この近くの林の中に六体まとめて捨ててあるのが見つかりまして。その時は大騒ぎでしたよ。なんせ、これだけ人間そっくりですからね。大量殺人事件じゃねえかって、みんな騒いで」
「こういう物の噂ぐらいは聞いた事はあります。しかし出回り出したのはここ十年ほどではなかったですか? なぜ、一度に六体も?」
「うちの会社のロボット技術者が調べたんですがね。中の精密部品があちこちいかれてるそうで。私も噂聞いただけなんですがね。お坊様、数十年前までJKビジネスなんてのが東京で流行ってたでしょ?」
「ああ、事実上の少女買春だと言われて問題になっていたあれですか?」
「近年は外国から大勢観光客が来るのに、みっともねえって事で、こういうロボット使った男相手の商売が黙認されるようになったんですよ。ロボットなら給料も要らなきゃ飯も食いませんしね。けど、めちゃくちゃ乱暴に扱う客が多いそうで。そりゃロボットなら何されたって抵抗しませんしね」
「それで壊れるのが早いと?」
所長は沈んだ面持ちで何度もうなずきながら言葉を続けた。
「どうやら、そういう業者が壊れて使い物にならなくなったロボットを、この辺りみたいな田舎の山林に捨てに来るんですよ。もちろん明らかに不法投棄なんですがね」
コメント
1件
第24話読み終えたわー。最初はただの♡♡♡処理場かと思ったら、まさかラブドールの死体安置所みたいになってるとは…正源さんの「これは…死体?」の反応、めっちゃわかる。人間そっくりのロボットが壊れて捨てられてるって設定、SFとしても社会風刺としても重いな。特に「ロボットなら何されても抵抗しない」って台詞、ゾッとした。正源さんの経験値が垣間見える「女を知らぬ身ではなし」の地の文もニヤリってなったわ。続き気になる!