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第65話
隠匿任務が最近多い。しかも、逆族を倒した跡の後片付け。
……普通に、いい気分しないけど。まぁ、自分も、参加してしまったから何も言えないけどさ。
僕が黙々と隠匿していると、昔より手伝ってくれる人が多くなってきた。
あれから三週間。
今日はルミナに行く日。
ちゃんと謝らないと……フリオも……
半日くらいかけてルミナへ行った。
「ロルフ。ちゃんと寝てる?」
「寝てますよ。背だって伸ばしたいですし……」
言いたくなかったけど……まぁ、アニカならいっか……
「ふふっ。記憶も段々思い出して来てるんだよ」
「……良かったです。例えばどんな事を思い出したのですか?」
「幼い頃の思い出が多いかな……」
アニカの幼少期なんて聞いたことないや。まぁ、僕も言えない感じだから、聞かなくてもいいけど……
「お母様と魔法の練習や、建国祭に、国境越えとか色々」
「そうですか……僕も、昔よく両親の旅について行ったものです」
「ロルフの両親はどんな人なの?」
僕の両親か……
「……優しくて、強くて、物知りで……行商人をしていました」
「う〜ん……何か、聞いた事あるような……」
えっ。話したっけ?
……そんな気がしない……いや、絶対話してないけど。
「ロルフさん……」
後ろから、フリオの声が聞こえた。
ハッとして振り向くと、立ち尽くししているフリオがいた。
「フリオ……前はその……ごめん。言い過ぎた……」
「ロルフさんの気持ちに寄り添えなかった僕も、悪いんです。それが、やるせなくて、悔しくて、……でも言ってくれて少し、嬉しかったんです」
嬉しかった?
「あ、頼って欲しかったってことですかね……昔から、ずっと守られるだけだったから……ロルフさんって近くにいたけど、触れなかった。ただ、それだけです……」
フリオ……大きくなったな……
あんなに小さかったのに……なのに、色々と、抜かされて、気づけなくて……情けないな。
「謝るのはこっちですよ。それに、ありがとうございます」
「敬語はやめて。僕は、レーナとフリオと同等の所に立ちたい」
「え? そう言われても……」
「気が向いたらでいいよ。良かった。良くなって」
「あぁ! フリオだ! やっと思い出した……」とアニカが急に大きな声を出した。
思わず肩をビクッとさせたけどフリオの涙目を見たらそんな気ではいれなかった。
「アニカ姫。思い出してくれたんですね」
「えぇ。ごめんなさい……」
「なぜ謝るんですか? 思い出してくれたのに……」
「今まで思い出せなかったんですもん……レーナの事も今、やっと思い出したのに……」
思い出した、思い出せなかったじゃないと思うけど…何だろう? これって、言葉に言い表せないけど、う〜ん……
それから、レーナにも会いに行って、二日滞在してから、帰った。
その帰った日。
僕は、十五年前最後の記憶がある、場所へ向かった。
いつの間にか、アニカも付いてきて後をつけられてたけど、着くまで気付かないふりをしていた。
「ロルフ。ごめんね。ついてきちゃって……十五年前の大災厄がきた、あのロルフが眠り始めた時はどんな事を考えてたの……?」
「あの時は、死ぬ直前だって分かってから後悔しました」
✡
僕は命懸けで、アニカを守った。
ボロボロだった。痛かった。苦しかった。泣きたかった。
いくら倒しても湧いて出てくる魔物が無数にいて、空は真っ黒。
「もうここは駄目だ。ソフィーは僕が連れっ!」
そこまで聞いた所でアニカをどこも怪我しないように抱いて暴風に巻き込まれた。
でも、途中で離れて、手を伸ばしたけど、届かなかった。アニカはもう意識が無い。
駄目だって……守らないといけないのに……
このまま落ちるとアニカは岩場に落ちるから、僕は死ぬ気で、アニカを違う所に、安全な場所へと避難させた。
僕はもう、用済みになったから……ごめんなさい。
しばらくしてから、目を覚ました。
痛くて、苦しくて、辛くて、泣きたくて、アニカが泣いていた。
「やめっ……生きて……ロルフ……」
そう言ってアニカが僕の事を抱いてポロポロと涙を流している。
僕はアニカの事を見つめてから優しく微笑んで目を瞑った。
……もっと、話しておけば良かったな。本気で笑いたかったな。
✡
『履き違えたこの、一方的な気持ちでも、伝えたかったな』
って、思ってたのは秘密。
「……情けないですよね。姫様の事を守れなくて、辛かったし、泣きたかったです……」
「ロルフ。もう、泣いていいし、辛いなら辛いって言って……もう、抱え込ませたくない」
アニカ……
僕は貴女に守られる程、柔では無いよ……
「姫様。僕は、あの時のように抱え込んでいません。沢山の優しい人に恵まれて、幸せで、自然に笑顔になれます」
そう言うとアニカが僕の頭をポンポンと撫でた。
「ふふっ。ロルフって、はっきり言うようになったね」
「言うようになったわけではなく、気持ちが分かるようになったんですよ」
アニカは青空を見上げて「……そっか。でも、良かった」と少し寂しそうに言った。
コメント
1件
こはるさん、第66話読みました!!😭✨ ロルフとフリオの和解シーン、めっちゃぐっときました…「頼って欲しかった」って言葉に二人の距離が縮まった感じがして泣ける。過去の大災厄の描写も胸が締め付けられるほど切なかったけど、今のロルフが「幸せで自然に笑顔になれる」って言えたのが本当に良かった…アニカが撫でるシーンも含めて、成長と絆が光る回でした!💕 次回も楽しみにしてますね!!