「 ごめんなさい 」
そんな声が第一体育館に響いたのは 、ほんの10分前 。
「 俺今日 告白するわ 」
そう 意気込むと同時に “ ガタガタ ” と 音を立てながら その場に立ち上がる 。 そんな意気込みを聞いているのは 小さな頃から一緒の いわゆる幼馴染の 佐々木 優太 だ 。 彼は 、 どんな人とでも 騒げる … 俗に言う 陽キャ と 言う人種だ 。 そんな 彼と 話している俺は 学園パロの漫画やラノベに出てくるような 陰気な軍団 … よりも少し 陽気な 2軍 と言ったところだ 。 周りからは そんな俺が 何故 優太 と 仲がいいのかと みんな 不思議がるような 目線を 俺へ向けてくる。
「 当たって砕けろだな 」
なんて 教室の 端の席に座る 俺に 彼は サラサラ な 茶色い 髪を 揺らしながら なんの曇もない 、 茶色い 綺麗な 瞳で こちらを見つめている 。 少し 言っていることは 縁起が悪いが 、 そんな 彼に 背中を押され 、 俺は告白することに 決めた 。 さすがイケメンは 説得力が違う 。 告白する相手は … そう 。 クラスの 学級委員長 の 斎藤 詩織 さんだ 。 誰にでも優しく 、 明るい 彼女は 学年でも まあまあモテる 。誰にでも優しいからであろう 。 そのおかげで 、 マドンナ と 呼ばれているほどだ 。 そんな 彼女と 俺が付き合えるなんて 誰も思ってもみないのであろう 。
「 ちょっと … 来てもらっていい? 」
クサイセリフで 触りたくなってしまうような サラサラで真っ黒な髪 の 彼女 へ 背後から 声を掛ける 。ちょっとした 沈黙の後 、 振り返り 、 頷く 彼女は 、 いつもと 違って 落ち着いた 印象だった 。 俺は 告白 するということに 気を取られすぎて 、 そんなことにも気が付かず 、 緊張から ぎこちない 歩き方で 1歩 2歩 と 教室 から 足を 踏み出す 。第一体育館 への 渡り廊下 が 教室を出て 直ぐにある 。1番第一体育館 が 近いクラスが 俺らのクラスだ 。 少し 足早に 第一体育館 へと向かう 。 第一体育館 へ 1歩足を 踏み込むと 、 その場で ピタリと 止まる 。 ドクドク と 自分の 心臓の音が 大きくなると 共に 周りの音が聞こえなくなる 。
「 ねぇ 、 ねぇってば 」
と 言った 声がやっと耳に入ったのは 第一体育館 へ 入ってから 1分が経つ頃だった 。
「 あ 、 ごめん 。 」
「 大丈夫 。 それで ? 何? 」
そう声をかけられ 、 唾を呑み込み 、 大きく 深呼吸をして 、 彼女の 目を見る 。
「 詩織 ちゃんが 好きです 。 付き合ってください 」
なんて ド定番 な セリフで 彼女に 愛を伝えると 、 彼女の反応は 思っていた反応と違い 、 どのすごく驚いている 。 告白されることには 慣れているようだが 、 まさか告白されると 。 と言わんばかりの顔で こちらを見詰めている 。沈黙の末に 彼女は 少し申し訳なさそうに
「 ごめんなさい 」
と 呟く 。 それと同時に 頭を 下げる 。 ああ 。 遂に 長年の 片思いが 終わったと 、 少し泣きそうなのを 堪えるために そこから去ろうとした 、 その瞬間 。
「 えっと 。 人と付き合ったことがなくて 。 」
と 驚きの 一言が飛んできた 。 あれでお、リと思っていた俺は 、 遂 え ? と 声を漏らしてしまう 。
「 お試しでいいなら … なんて 」
ごにょ ごにょ と そうつぶやく 彼女 に 驚き 、 口を 動かそうにも 声が出ず 、 ぱくぱく と してしまう 。
「 お試しで 、 是非 !! 」
と 勢い余って 大きな声で そう口にしてしまう 。 そんな俺にも 彼女は優しく 微笑んでくれる 。
これは夢なのだろうか。
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