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想像設定沢山あります。
同じ様な作品を投稿している方はいますが、このお話は全て私のオリジナルです。
〈主人公達の設定〉
九重梓(ここのえあずさ):異能術式
天野紗英(あまのさえ):鏡面術式
相澤side
部屋の扉が乱暴に開けられ1人の少女が入って来た。
真っ黒な服に茶色の髪、瑠璃色の目をしている。
俺と校長が座っている反対側のソファにどさりと座った。
足を組み背もたれに背を預ける態度が目に余る。
「どーも、護衛に来てあげた天野紗英。
宜しくする気はないからね。」
舐めたような口調と態度が気に入らない。
「少し態度が悪すぎるんじゃないですか?」
そう声をかけると彼女はにやりと笑った。
「別にいいでしょ、こっちはお願い聞いてあげてる側なんだから。」
確かにそうだが常識的に考えておかしい。
反論を続けようとすると、すぐ隣の校長に止められた。
「いいのさ相澤君。
来てくれてありがとう天野君。」
校長はにこやかに続ける。
「いやー感謝してよね、せっかく私が来てあげっ痛った!」
天野が後ろから頭を肘で打たれた。
俺はここで初めてもう1人部屋に入って来ていたことに気づいた。
白髪に紫の目をした少女だ。
「全くもう。
紗英ちゃん、あなたはいつから依頼者よりも立場が上になったの?
それに幾ら嫌いでも初対面で目上の方には敬語!姿勢も正して!」
その少女は天野の座るソファに回り込むと隣に座り、怒涛の勢いで注意しだした。
「はいはい、分かったって。
でもさこんな奴らに敬語なんて使わなくても良くない?」
天野は未だに舐めた口調だ。
「ダメに決まってるでしょ!
紗英ちゃん自覚ある?
今紗英ちゃんヒーローからの呪術師の評価を下げまくってるの!」
少女が天野の肩を掴んで揺さぶった。
「えーそんなのどうでも良くない?」
「良くない!
今後動きずらくなるのは私なんだよ!」
「でもさ、目上じゃないじゃん。
ヒーローなんてっ!」
とんっ、とその少女は天野の首に手刀を入れて気を失わせた。
このままでは話が堂々巡りになる予感しかしないためいない方が合理的ではあるが…。
少女は天野を受け止めソファの背にもたれかけさせると、こちらを向いて姿勢を正した。
「お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありません。
この方が合理的で早く話を進められると判断致しました。
改めて、私は東京都立呪術高等専門学校から参りました九重梓です。
この度は護衛要請という事でしたが、何かあったのでしょうか?」
もう1人の少女、九重は驚くほど丁寧に話し出した。
所作や表情にも気品があり、先程の天野を叱っていた時とは雲泥の差がある。
「あ、ああ。実は、ここ最近呪霊の被害が多発しているのだよ。
ヴィランと呪詛師が手を組んだという情報もあるくらいで。
このままでは生徒達に被害が出て仕舞うと思って、恥を忍んで呪術師の方に依頼をしたという訳さ!」
校長がそう言い切ると九重は納得したようで頷いた。
「了解致しました。
身勝手ながら幾つか条件というか、許可を頂きたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」本当にこいつ高校生か。
「勿論、できる限り許可するよ。」
「ありがとうございます。
まず1つ目ですが、この任務を受けている間でも新たな任務は入ってきます。
それ等の連絡のやり取りをする為に、携帯電話の使用を許可して頂きたいのです。
勿論、必要最低限しか使用致しませんし、任務等の連絡以外には使用致しません。
そして2つ目になりますが、校内に呪霊の気配を感じた場合や、任務の都合による学校や授業の遅刻や早退、途中で抜け出す事を許可頂きたい。
私や天野は等級が高いので直ぐに向かわなければ人命に関わる場合が多いのです。
最後に3つ目です。
呪霊や呪詛師と交戦した時には私達呪術師の指示に従って頂きたい。
生徒は勿論、皆様教員の方々もプロヒーローである以前に非呪術師であり守るべき対象です。ヴィラン発生時は生徒同様に皆様の指示に従います。
無礼は承知ですが、呪霊や呪詛師に関しては関与しないで頂きたいのです。」
九重は以上です、と言って校長を見る。
さっきまでは下の名前で呼んでいたのにしっかりと俺達に言う時は天野を苗字で呼ぶの辺り本当しっかりしている。
「そのくらいのことなら全然許可を出すよ、全く問題ない。
それと、聞きたかったんだけれど、君達の等級と術式を教えて貰ってもいいかな?」
確かに気になってはいた。
事前に呪術師の等級や術式というものについては知っていたが、自分で等級が高いと言いきれる2人の実力や手の内は知っておきたい。
「はい、大丈夫です。
まず私ですが、等級は特級。術式は異能術式。
この世に存在しない未知の物質や呪力変換を扱う術式です。
天野は1級で鏡面術式。
鏡に関する術式です。」
思っていたよりも凄い人達のようだ。
確か特級術師は日本に5人程しかいなかったはず。
天野の方も実力はあるようだ。
「なるほどなのさ!
ありがとう、もうこちらからは以上なのだが、相澤君、何か聞いておきたいことはあるかい?」
突然話をふられて驚いた。
「そうですね。
あ、1年A組担任の相澤消太です。
先程呪術高専と言っていたのですがお2人は何歳で同じ学校なのですか?」
大したことでもないが気になっていたことを聞いてみる。
「いいえ、私と天野は同じ学校ではありません。
高専は高専でも私は東京校、天野は京都校です。
同じ1年で15歳です。」
確かに近いとは思っていたが、自分が先日受け持ったばかりのクラスと同い年とは。
「凄いですね。
まだ高校生なのにもう特級や1級なんですか。」
「私や天野は呪術師を生業とする一族の出なのです。
ですので、通常よりも訓練を受けている年数が多いだけですよ。」
それでも簡単なことでは無いはずだ。
俺はありがとうございますと返して校長を見る。
「もう大丈夫かい?
じゃあ、九重君、天野君。
今日はありがとう。
これから宜しくね。」
根津校長は立ち上がって九重の目を見て言った。
「こちらこそ、全力で任務を遂行致しますのでどうぞ宜しくお願い致します。
根津校長、イレイザーヘッド。」
さらっと呼ばれた自分のヒーロー名に驚く。「相澤君のヒーロー名を知っているなんて珍しいね。初対面だろう?」
俺が頷くと九重は少し照れたように微笑んだ。「私実は大のヒーローファンでして。
今回の任務も雄英高校はプロの方々が教鞭を取っていらっしゃるということも受けた理由のひとつに上がるくらいには。」
勿論他にも理由はありますよ!と慌てている。年相応の所もあるようだ。
「驚いたよ。
呪術師はヒーローを嫌っていると聞いていたからね。」
校長の言葉に九重はああと同意する。
「私にはよく分かりませんが、呪術師にはヒーローを嫌っている者が多いのは事実です。
天野もその1人で。
勿論、任務に私情を挟んで無作法に接するというのは悪い事ですし直させますが、天野がこう思っているということは理解して頂きたいのです。
天野も好きで嫌っている訳ではないのですけれど。」
呪術師の中では九重が珍しいのか。
ファンだとしても俺のヒーロー名を知っているのはなかなかだ。
「分かっているから大丈夫だとも。
こちらとしては友好的にいたいと思っているよ。
それよりも、九重君はそんな理由で任務を受けて良かったのかい?」
他にもあるとは言っていたがあまりにも軽すぎる理由だ。
「はい!
ヴィランと呪詛師が手を組んでいる上呪霊の等級が未知数ですので、元々特級術師が派遣される任務ですから。
残りの4人は全員拒否していましたし私が1番適任でした。
私、ここまで呪術師をやっていて良かったと思ったことはありません。」
かなり自信があるようだ。
九重は天野を起こしにかかっている。
どうやって起こすのかと思ったら九重は思いっきり手を振り上げて天野の頬を叩いた。
パチン!と音がして少し経つと天野の目が開いた。
「紗英ちゃんやっと起きた。
おーい、もう帰るよ。
このあとも任務入ってるんだから。」
天野は体を起こすと辺りを見回す。
「えっ?これどういう状況?
というか梓、突然気絶させないでよ。」
「それは紗英ちゃんが悪いから。
私は合理的に話し合いを進めるためにやったまでだからね。」
「でたよ梓の合理的。
なかなかいないよ、合理性だけで人に手刀入れる人は。」
やはり九重は俺と同じような性格をしているらしい。
「九重君と君は話が合いそうだね。」
校長からそう言われて同意する。
俺もあの状況ならそうするだろう。
九重と天野は言い合いしながら扉へ向かう。「本日はありがとうございました。
では明日から任務を開始させて頂きます。」
九重は丁寧に挨拶をして部屋を出ていった。
天野は何も言わなかったが九重に無理やり頭を下げさせられていた。
その変わらない様子に俺はこれから起こるであろう面倒事を察してため息をついた。
読んで下さってありがとうございます!
とりあえず書いて見たので、続くかは未定です。
でも続けたい…!