がちゃ
扉のノブが回される音が響く。
どうやら彼が来たらしい。
「 …お疲れ様です、会長 」
「 お疲れ様! 」
「 …相変わらず怪しい頬笑みですけど、 」
「 ん?気のせいじゃないかなぁ! 」
と、他愛も無い話をしてからのっ…
シュンッ
数珠が風を切る音。
彼を数珠で締め括る。
「 ……こんのクソ会長! 」
「 あははっ! 」
「 僕にも一応副会長って肩書きがあるんですけど!僕の仕事は?! 」
「 僕一人で全然大丈夫☆ 」
「 うっ……そうかもですけど! 」
「 だって蒼井は括られてるだけで良い…そして僕もその姿を楽しめ……いや、仕事に集中できるし!お互いwin-winでしょ? 」
「 今楽しめるって言いましたよね?え?」
顰めた顔を僕に向けてくる彼が、
こんな僕を知っても僕を捨てない彼が、
本当に本当に、
がちゃ
「 ん…?あ、アオちゃん?! 」
「 …えっと…茜くん、源先輩も… 」
「 ……こんにちは、赤根さん。 」
「 こんにちは、…茜くん、ハニ太郎落としてたよ? 」
「 僕の落し物を届けに来てくれるアオちゃん…なんて優しいんだ!結婚して! 」
「 うーん、無理♡ 」
「 え゙っ 」
…だけど、
“ その ”感情は僕に向けてくれない。
その上気付いてもくれやしない。
だったらもうすることはただ1つだよね、
「 …先輩、お疲れ様です 」
「 …あ、赤根さん。後でちょっといいかな? 」
「 ……え、えっと… 」
「 おい待てクソ会長!アオちゃんに何するつもりだ! 」
「 別にー?だったら蒼井が来る? 」
「 え、それは嫌に決まっ… 」
「 …茜くんも来るなら…、 」
「 よし、一緒に行こうアオちゃん!何があっても僕がアオちゃんを守りきる! 」
本当に赤根さんのことばっか、
まぁそういう一途なところがいいんだけど、
「 …じゃあまた後で連絡するから、赤根さんは校内で待っててくれる? 」
「 はい…うーん……図書室で待っておきます! 」
「 アオちゃん……怪異には気をつけてね…! 」
「 分かってるよ〜!茜くんったら心配性なんだから〜! 」
「 なんなら僕が付いていってあげ… 」
「 蒼井……仕事は? 」
「 …吊るし上げるだけの癖に、 」
「 ……あとでどうなるか分かってるね? 」
「 圧かけて脅すな!! 」
「 …じゃあまた後でね、赤根さん! 」
「 はい、! 」
「 アオちゃん…また後で! 」
「 というか何企んでるんです?会長? 」
「 いやぁ別に何も企んでなんかないけど? 」
「 そんなことないでしょ……目完全にキマってますよ? 」
「 ……… 」
こっちの気持ちなんて1mmも気付いてない
「 あ、えっ、すみません何も言ってないです 」
「 ……… 」
苛々してくるよなぁ…本当に、
「 いや本当に!そんな悪いこと言ってないです!急に黙り込まないでくださいよ! 」
…怯えた顔、
…“ かわいい ”な…
茶色の頭に手を乗せる。
「 え、かいちょ、 」
「 …ん? 」
「 何して… 」
「 … 」
怯えた顔が、驚いた顔に変わる。
…でもやっぱり、
僕が好きなのはこれだな。
「 って、え?会長?はぁ!? 」
「 だって吊るし上られるのが副会長の仕事だもんねぇ? 」
「 僕は認めてなぁぁぁい!!! 」
怒った君の顔。
僕が1番好きな顔。
もっと独り占めしたい。
そして、
僕の、そして誰も知らない君の顔を
僕だけのものにしたい。
コメント
1件
ウヘヘヘヘヘ、やっぱ独占欲激強輝兄は栄養素高い(^q^)茜くんは何時も通り茜くんだね(*˘︶˘*).。.:*♡ 輝兄アオちゃんになにする気なんや……w