ヴーッ
そんな振動と共にきたLI○E。
「今日会えない?」
元カレのりうらからだった。
…好きな人ができたって言って別れさせたくせに。
あまりにも…あまりにも都合がよすぎない?
なんだか悔しくなって私はスマホを握り締めた。
会ったら貴方はきっと、優しい魔法みたいな言葉を私にかけるのでしょう、あの頃みたいに。
それでも。そうとわかっていながらも私は、今夜はちょっと寂しいからなんて噓で自分の気持ちを塗り固めた。
「私も会いたかった」
画面に映るその文字を見て、私は後ろめたさでいっぱいになった。
…容易い女にはなりたくなかったはずなのに。
待ち合わせの場所に着いたら君はいた。
お洒落なのも、ちょっと大人びてるのも、変わってないね。
「お待たせ」
「待ってないよ。…行こっか」
そう言って歩き出す君。
歩いてる間は終始無言。
「哀」という名の罠だなんてそんなのわかってる。
それでも、君の甘い言葉に溺れたくて。
…弱みを見せたらそれで満足?
ねぇ、こっち向いてよ。
会ってからもずっと君はスマホばっかりだね。
そんなことも言えないまま私達はホテルへと入った。
行為に入った途端君は「かわいい」とか「好きだよ」とか、心地いい夢のような言葉をかける。
その言葉が噓だとわかっていても、私は君に落ちていく。
この瞬間だけだとしても、この瞬間だけは貴方は私だけのものだから。
好き、大好き。そうして私はまた君に今日も堕ちていく。