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1 - 墜ちて

♥

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2023年01月06日

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ヴーッ

そんな振動と共にきたLI○E。

「今日会えない?」

元カレのりうらからだった。

…好きな人ができたって言って別れさせたくせに。

あまりにも…あまりにも都合がよすぎない?

なんだか悔しくなって私はスマホを握り締めた。

会ったら貴方はきっと、優しい魔法みたいな言葉を私にかけるのでしょう、あの頃みたいに。

それでも。そうとわかっていながらも私は、今夜はちょっと寂しいからなんて噓で自分の気持ちを塗り固めた。

「私も会いたかった」

画面に映るその文字を見て、私は後ろめたさでいっぱいになった。

…容易い女にはなりたくなかったはずなのに。


待ち合わせの場所に着いたら君はいた。

お洒落なのも、ちょっと大人びてるのも、変わってないね。

「お待たせ」

「待ってないよ。…行こっか」

そう言って歩き出す君。

歩いてる間は終始無言。

「哀」という名の罠だなんてそんなのわかってる。

それでも、君の甘い言葉に溺れたくて。

…弱みを見せたらそれで満足?

ねぇ、こっち向いてよ。

会ってからもずっと君はスマホばっかりだね。

そんなことも言えないまま私達はホテルへと入った。


行為に入った途端君は「かわいい」とか「好きだよ」とか、心地いい夢のような言葉をかける。

その言葉が噓だとわかっていても、私は君に落ちていく。

この瞬間だけだとしても、この瞬間だけは貴方は私だけのものだから。

好き、大好き。そうして私はまた君に今日も堕ちていく。

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