コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼に出会ったのは中学校の時だ。
「あああどいてどいてーっ!!」
「わあっ!?」
ドンガラガッシャーン…。という嫌な予感のする音が聞こえた。そちらの方を見ると…。
「いたた…。」
給食ワゴンから宙へ放り出され床に叩き付けられたであろう皿の残骸達と、それに囲まれ切り傷だらけの彼がいた。
「ごめんなさい!今保健室連れていくね?!」
動揺して上手く動けないけれど何とか皿の残骸を端へ避けて彼の元へ辿り着く。
「びっっくりした…。」
「歩ける?いや無理か。肩貸すから保健室まで頑張れそう?」
「お、おう」
そのまま保健室へ連れて行った。
彼に屋上へ来てくれ、と呼び出された。
なんだろう、と思った。一方で、告白でもされたらな…。とも考えた。
ギィィ…。と、年季の入った屋上の扉を開ける。影が1つ、目の前へ伸びた。
「お待たせ。それで、どうしたの?」
彼の方を見る。少し嬉しそうな顔をしている。
「あの、この前はありがとう。お礼にこれをあげたかったんだ。」
そう言って彼の手にはハンカチとハンドクリームがあった。
「え!?いやいや、大したことしてないし…。なんなら私、加害者だよ!?」
「でも怪我してたよね。手の傷、残ってるじゃないか。」
本来なら私がなにかあげるべきなのに、彼は優しさの塊と言っていいほど優しかった。さらに、人を見据える力もある。
「…。」
「一生残ったら僕があんなところで突っ立っていた責任になるから。」
気遣ってくれているのにこのまま断るわけにもいかないと思った。
「…有難く頂くね」
受け取ったと同時に、なにかの感情が芽生えた。
私のことを好きになってもらおうと。
それから、彼のことについて調べることにした。まずは好きな物、タイプの人、無意識な好み…。彼自身についても調べた。好きな色、食べ物、好きなもの、嫌いなもの、趣味…。
中学の3年間を有意義に使って彼との距離を詰めつつ彼好みの人へと成長した。
そしてついに、彼から屋上へ来てほしい、と言われた。告白されるのかな?という期待が膨らんだ。
そして前と同じように屋上へ向かう。前よりも3年分年季の入った扉を開く。
「待たせちゃったかな?」
前より背丈が伸びた彼の方を見る。
「全然大丈夫だよ」
「それで、用事って?」
期待して声が上ずる。
「…その、黄彩のことが好きなんだ。付き合ってくれないか?」
ついに来た!と思い、食い気味に返事をしてしまう。
「はい!」
やった!という気持ちが強くなり、彼とハグをした。そう、彼とは親友くらいの関係性に成長していたのだ。
そして、彼と交際を始めた。というか中学2年の二学期辺りから付き合ってる?とか言われる関係になっていて、対して周りの目は今更感が多かった。周囲公認カップルの誕生である。
高校も同じ所へ行く予定なので、彼と共に歩み続けようと思う。