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花吐き病パロ3
【レイン視点】
最近マッシュの様子がおかしい。
俺を見かけたら足早にどこかへ行ってしまう。
まるで俺を避けているかのようだ。
何かしてしまったか、と
流石の俺でも心にダメージを受けた。
今日もマッシュに避けられた。
俺はその行動に苛立ち、
咄嗟にマッシュの腕を掴んだ。
「お前、なぜ俺を避ける」
マッシュは動かなかった。
俺の顔を見ずに、ただ、
「避けてません……」
そう小さな声で言うだけだった。
「いや、避けてるだろ。
俺を見かけたらお前はいつもどこかに行く。
俺はお前に何かしてしまったか?」
問い詰める様な言い方でマッシュに言いよる。
するとマッシュは自分の口を手で覆った。
そして、掠れた声で
「レインくんは何も悪くないです」
そう言った。
その時の表情は見えなかったが、とても
悲痛な声だった。
マッシュは俺の手を振り払い、走って
またもや何処かへ行ってしまった。
「だったら何で避けるんだよ……」
誰に聞かせるでもなく、俺は呟いた。
それから数日後、俺はフィンを呼び出した。
「おいフィン、最近のアイツおかしくないか?」
「え……そ、そうかな?」
この反応は何か知ってるな?
そう思い、俺はもう一つの質問をした。
「アイツの顔色が日に日に悪くなってる様な
気がするんだが、それも知らないのか?」
するとフィンはビクつき、あからさまな
反応をとった。
だが、一向に話す気はないらしい。
少しの沈黙が続いた後、フィンから
口を開いた。
「……兄様はマッシュくんのこと、
どう思ってる…?」
予想していなかった発言に俺は固まってしまった。
「ごめん、変なこと聞いたね。
話が終わったなら、僕はもう帰るよ」
じゃあね。そう言ってフィンは
足早に部屋を出ていってしまった。
フィンがいなくなった部屋で
俺はあの質問を真剣に考えていた。
どう思っているか……
アイツは魔法が使えないが、すごく強い。
なのに、腑抜けた顔をしている。
だが、いざって時は男の顔になって仲間思いだ。
ギャップを感じるヤツ。
シュークリームを食べている姿は
小動物のようで可愛い、
なんて思ってしまったこともある。
可愛い……?
そこで俺はフィンの質問が分からなくなってしまった。
後輩としてどう思っているか。
それとも、
恋愛面でか……
俺は長い時間頭を悩ませていた。
「……どうしたの?レイン、凄く怖い顔してるけど」
そう俺の顔を覗き込み、聞いてきたのは
同室のマックスだった。
「……さっきフィンがマッシュ・バーンデットのことをどう思っているのか聞いてきてな。
ずっと悩んでるんだ」
「そのまんまの意味じゃないかな……?」
「いや、フィンのあの言い方は何か引っかかる。」
「……それってつまり、そうゆう意味でってこと?」
「……おそらくな」
マックスはうーん、と唸り、
「レインはそもそもマッシュくんの事をそうゆう目で見てるの?」
「……分からん。だが、アイツといると、
気が抜けて落ち着く……」
「いや、もうそれ好きじゃんっ!」
突っ込むようなマックスに俺は、は?と返した。
「いや、だって落ち着くんでしょ?初めての感じなんでしょ?それはきっと脈アリだよッ!!」
「あ、ああ……」
いきなり饒舌に話すマックスに俺は後ずさった。
「…でも何でフィン君はそんなこと聞いてきたんだろうね」
確かに。
そう思った。
「もしかしたら、マッシュくんはレインのこと……」
そう呟くマックスに俺はただ
黙ってるしかなかった。
あれから数日後、マッシュとは合わなかった。
なぜだか顔を合わせるのが気まずかった。
俺が廊下を進んでいくと、
端の方でうずくまっている学生がいた。
大丈夫か?
そう言おうとして近ずいて行くと、そいつは
マッシュだった。
具合が悪そうに、息を切らしている。
俺はマッシュに近ずき、
「大丈夫かマッシュ。立てるか?」
そう言い、マッシュの肩に手をやり、
立たそうとした。
すると
「っやめてください……ッ!」
マッシュは俺の手を振り払った。
すると次は苦しそうな顔になり、口元を手で覆うと、
「ゔ…っ!」
「ゴホッ……ゴホッ」
マッシュの口から花弁が落ちてきた。
俺は驚いて、固まってしまった。
マッシュからは生理的な涙が目からこぼれ落ちている。
俺はふと思い出した。
”嘔吐中枢花被性疾患”
通称「花吐き病」
都市伝説級の病気だと聞いていたが、
本当に存在していたとは。
それにこの病気は片思いを拗らせると
発症する病気……
となると、マッシュは好きなやつがいるのだ。
それはきっと俺だろう。
お前それは……
俺がそう言おうとした時、
マッシュは意識を失った。