第二話 ナイフ
グロ注意、自殺表現あり
前回の続編
🦍「…なんで、ここにいるの?」
??[……]
目の前には、見慣れた背中があった。
咄嗟に名前を呼ぶ。
🦍「ねぇ、おんりー。」
🦍「一回話したい事があるんだ。ちょっと中来て。」
🍌『…』
無言でこちらを振り向く。その姿は確かにおんりーの姿だった。深く帽子を被り、黒いマスクをつけていた。
先に凶器をもっていないかを確認し、家に上げることに。
その時には全員目が覚めていた。
テーブルを囲み、沈黙の中で自分は口を開く。
🦍「はじめに、この手紙はおんりーが書いたもので間違いない?」
🍌『…はい』
🍆【ねぇまさかとは思うけど盗聴器とかって…】
無言で立ち上がるおんりー。
🦍「ちょっ…どうしたの?」
🍌『まず盗聴器がこの部屋に一つ』
そう言って近くのテレビのコンセントを抜き、そのプラグを取る。
🍌『これがカメラ一つ目』
そしてカーテンに近づき、カーテンレールの部分に手を伸ばす。小さなカメラのようなもの。
🍌『これがカメラ二つ目』
台所の冷蔵庫の上に足場を使って登り、もう一個のカメラを取るおんりー。
🍌『これがカメラ三つ目』
今度は撮影、配信部屋に入る。
🍌『ここに盗聴器二つ目、カメラ四つ目』
その次に脱衣所に入る。
🍌『ここにカメラ五つ目と六つ目、盗聴器が三つ目』
風呂の中に入る。
🍌『ここに七つ目と八つ目のマイク付きカメラ』
つまりカメラが八つ、マイクはマイク付きカメラも含めて六つあったのだ。
🍆【おんりー、これ笑い事では済まないよ…?】
🐷〔なぁ、なんでそこまでおらふくんの事監視するんだよ…〕
🦍「わかった、カメラ見せて。今持ってるでしょ、鞄の中に。」
再びリビングに戻り、おんりーは手持ち小型カメラを取り出す。そしてパソコンにSDカードを取り付け、僕達に見せてくる。
そこには880枚程のおらふくんの画像があった。部屋のカメラのデータ、外でストーキング行為によって手に入れた外出時の画像などが残っていた。
ー
☃️〈こわいよ…〉
怖い。本当に怖い。何でこんなに僕の家にカメラを置いていたの?
何でこんなに監視するの?
🍌『おらふくん大好きなんだもの、仕方がないじゃん。』
🍆【…良い加減にしろよ…】
そう言うぼんさん。その次の時にはおんりーの頬を叩いていた。
🍌『はッ…なんですか、俺に逆らうんですか?』
🐷〔少し前までおんりーはそんな奴じゃなかった‼︎〕
🍌『え?そんなのキャラだよ。そんないい奴だと思ったの?w』
🦍「ねぇ、おんりー…」
ドズさんが手を伸ばした時。おんりーは手を払う。
🍌『近づかないでください。それ以上近づいたら…』
ポケットから瞬時に小型ナイフが飛び出る。
折りたたみ式らしい。
『これで刺します。』
銀色に輝くナイフは、いくら小型とはいえど、刺されれば場所によっては死に至る位には鋭利だった。
全員がごくりと唾を呑み込む。沈黙が続く。
🍌『…ねぇ、おらふくんは俺の事好き?』
☃️〈好きやで?〉
🍌『…嘘吐き。』
☃️〈…え?何言って…〉
🍌『俺は初めて動画を観た時からおらふくんの事が好きだった。仲良くなれて、嬉しかったなぁ…』
どこか悲しそうに話をする。
🍌『でも、所詮男友達、仕事仲間。おらふくんは俺を好きになってくれなかった。』
🍌『その時から死にたい死にたいって思い始めて、この苦しみを、このどうにもできない恋愛感情を、味わって欲しかった。』
🍌『ただそれだけ。』
そう言った後、僕の首元にナイフを向ける。
🍌『…ねぇ、答えてよ。俺の事好き?』
☃️〈…ぃ……大っ嫌いだよ。〉
🍌『…そっか。ばいばい、おらふくん。』
おんりーは狂っていた。
否、これは自分のせいだ。
僕と出会ってから、少しずつおんりーの人格は変わっていき、真面目で人を大切に思う心は、僕によって奪われたのだ。
🍌『あははははっ、どう?死ぬかも知れないって怖い?』
そう訊かれ、少し黙ってから答えを発する。
☃️〈全く怖くないよ。〉
🍌『ぇ…なんでッ…』
☃️〈おんりーを狂わせてしまったのは、僕だから。ごめんね。ごめんねッ…〉
そういうと、おんりーの手が震える。
🍌『…やっぱり、俺はおらふくんが好きだな…俺は狂わされたからね。』
🍌『じゃあね、ばいばい。』
自分は死ぬんだ、と目を瞑る。
当たり前だ。おんりーを狂わせたのは自分なのだ。彼の人生を、めちゃくちゃにしたのだから死んで当たり前だよね…?
でも、いつまで経ってもナイフが当たらない。血の感覚も痛みもしない。
なんで…恐る恐る目を開ける。すると、君はニコッと微笑み、
僕に向けていた刃物を自分の喉に突き刺した。
🦍「おんりー‼︎」
🍆【おん…りー?』
🐷〔おんりー‼︎おんりー‼︎〕
目を瞑り、口や喉の傷口からは血がタラタラと溢れていた。
刃物を握っていた腕も力を失せ、床へと下がる。
🍌『お…らふ…くん…ごめっ…んね…』
そう言った次の時には、おんりーは、もう全く息をしていなかった。
近所が騒ぎを聞きつけて通報したようで、外にはパトカーが止まっていた。
ー
おんりーが亡くなって、結局手紙は一通も捨てられていない。
おんりーの最後の形見だから。
あの日郵便受けに投函した最後の手紙には、こう綴られていた。
[ばいばい。]
怖すぎんだろ
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