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#異世界転生
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下校前のHR
「はい、静かにー」
教室のざわめきを、担任の声が切り裂く。
「修学旅行の自由行動の班について。人数が3〜4人になるように各自で決めて、明日までにメンバー表を提出するように〜」
「めっちゃ急じゃん!」
「まじ?一緒の班になろう〜!」
チャイムが鳴る。
「はい、じゃ〜気をつけて帰れよ〜」
起立、礼、着席
⸻
(3〜4人か……)
とりあえず先にペアを作っておけば、誰か1人が孤立することも無くなるだろう。
という考えから、前に座るこはるに声をかけようと紅葉が立ち上がった。
「こはる、一緒にまわろ……」
声をかけるや否や、こはるは一目散に雪斗の方へ駆け寄って行った。
「雪斗くん!」
こはるは、迷いなく声をかける。
「一緒に回りませんか?」
「え?」
目が点になる雪斗。
「修学旅行の自由行動です」
「いやそれは分かるけど……」
少しだけ間を置いて、
「……まぁ、いいよ」
「ほんとですか!」
ぱっと表情が明るくなる。
「どこ行きたいとかあるの?」
「えっと……まだ決めてないですけど……」
「じゃあ後で決めるか」
「はい!」
そんな2人のやり取りを見ていた紅葉
「やるじゃん…」
小さく微笑みながら呟いた。
(こはるは大丈夫だね。じゃ〜渚を……)
と渚の方に目を配ると
「水瀬」
渚も他の生徒から声をかけられているところだった。
「……え?」
振り返る渚。
声をかけたのは、陸上部の百武だった。
「ちょっといい?」
「……あー、うん」
少しだけ戸惑いながら、渚は教室を出ていく。
(まじか……)
その様子を見ていた紅葉。
チラッと陽向を見ると。
「zzzzz」
気持ちよさそうに寝ていた。
(はぁ………)
⸻
数分後
下校時間もすぎ、人がまばらになった教室。
大きなあくびをし、陽向が起きた。
どうせ寝ていて話を聞いていなかっただろうと、雪斗がHRで先生が言っていた内容を陽向に伝えていたところに……
渚が戻ってきた。
「お、お疲れ〜ってか、修学旅行の班どうしようね。まじ3〜4人は中途半端だろ(笑)」
「うん。そう……だね。」
様子がおかしい渚。
「ん、渚どうしたの?」
あえてふだん通りに紅葉が聞いてみる。
「さっき、百武に告られた……。」
「うん?」
「良かったら修学旅行も、一緒に回らないか…って。」
「おー」
陽向が軽く声を上げる。
「で?」
紅葉が続きを促す。
「一応……断った」
「へぇ」
「なんか……その……」
少しだけ視線を落とす。
⸻
「まぁでも」
陽向が軽く肩をすくめる。
「百武と回るのもアリだったんじゃね?」
「……は?」
空気が、一瞬で凍りつく。
「だってさ、せっかく誘われたんだし——」
バン!!
手を自分の机に叩きつける渚
その音にこはるはビクッと肩を大きく振るわせた。
「……そう」
渚が短く言った。
「じゃあそうする」
「え?」
「その人と回ればいいんでしょ」
「いや、そういう意味じゃ——」
「いいよ別に」
荷物を手に持つ
「じゃあね」
そう言うと、渚はそのまま教室を出ていってしまった。
⸻
予想外の渚の行動に戸惑う陽向。
「今のは無いわ……」
雪斗がぽつりと呟いた。
「今のは流石に笑えない」
紅葉が立ち上がって渚を追いかける
「待って渚!」
こはるも先ほどの音から身体が硬直し動けないでいた。
どうして良いのか分からず、視線を雪斗に送ると…
雪斗は頷いた。
「私も……行ってきます……!」
こはるも慌てて渚の後を追った。
⸻
廊下。
少し先で立ち止まっている渚の背中。
「渚」
紅葉が声をかける。
「……」
返事はない。
「……らしくないよ」
「は?」
振り返る。
渚の目からは涙が溢れていた。
「いつもなら……あんなの軽く流してるじゃん……」
「……」
「どうしたの?」
「……らしいって、なに…?」
「…………」
「ごめん。少し1人にさせて。」
こはるが落ち着くと同時に、渚はそう言って行ってしまった。
「渚さん……泣いてました……」
「……こりゃ重症かな……」
紅葉が静かに言う。
「しばらくは様子みるしかないいかな……」
「………そうですね……」
「大丈夫、すぐ仲直りするよ。」
「……はい」
⸻
次の日の朝
教室でいつも通り談笑している渚と紅葉とこはる
「んでさぁ、それがマジ面白くて」
はるは、こいつも通りの渚に少し安心をしていたのだが……
「おっはよ〜!え?なんの話してんの?」
陽向が近くに来ると
「あ、ごめん私トイレ行ってくるね〜」
あからさまに距離を取るようになっていた。
⸻
「渚、昨日のことだけど……」
スッ……
「紅葉、こはる、行こう〜次理科室だよ」
⸻
「今日みんなであそこのケーキ屋いこうぜ!」
「ごめん、私今日用事あるから先帰るね。」
(……なんで……)
こはるは、少しだけもやもやしていた。
⸻
そんな状態が2日間続いていた。
放課後……
教室には、こはると紅葉と渚の3人。
少し重い空気。
こはるが渚と紅葉に話があると、教室に残していた。
「こはるが話って珍しいじゃん?どうしたの?」
3人になったのを見計らい、渚がこはるに問いかけた。
「………てください。」
「……え?」
タァァァァァン!!!!
足を床に叩きつける音が教室中に広がる。
「……いい加減にしてください!」
普段のこはるの声とは思えないほど
声が荒々しく震えていた。
「!!??」
「……………」
びっくりする渚と、何も言わずに渚を見ている紅葉。
「この2日間………全っ然楽しくないです!」
こはるは俯きながら話を続けた。
「せっかくの旅行なのに……」
「時間だってそんなにないのに………」
「こはる………」
「……私は」
こはるが大きく息を吸った。
「雪斗くんが大好きです」
「えっ」
「えっ?」
突然の言葉に見守っていた紅葉も声が出る。
「陽向くんも、紅葉さんも、渚さんも……」
「みんな大好きです」
「…………」
(あぁ……そう言うことか)
驚きが納得に変わる紅葉。
「だから……」
「みんなで楽しく行きたいんです」
「今のままじゃ……絶対楽しくない………」
しん、と静まる。
「直球ドストレート。」
紅葉が続ける。
「でも……私も同じ気持ちだよ。」
少し微笑みながら渚を見る紅葉。
「……なにそれ」
渚がぽつりと呟く。
「……ふっ」
次の瞬間、渚が吹き出した。
「ははっ……!」
「もう無理……!」
笑いながら、目元を押さえる。
「……なんで笑うんですか!」
「だってさ……!」
「そんな真っ直ぐ言われたら……!」
「……バカみたいじゃん、私」
⸻
少しだけ息を整えて、
「2人とも……ごめん」
「……うん」
⸻
「私さ、陽向が好き」
「知ってた。」
「ん?」
ぼそっと答える紅葉。
こはるはあたまを傾げていた。
「せっかくの旅行だから。好きな人も一緒に回りたい。」
「そう思ってたのに、あんな言い方されてさ。すごく悲しかったの。」
「そう思ってるのは私だけなのかなって。」
「まぁ……そうだろうね。」
「……???」
「いつもの冗談だってわかってたのに。」
一瞬教室が静寂に包まれる。
「……でもさ」
渚が少しだけ顔を上げる。
「このままだと……ほんとに最悪の旅行になるね」
「……そうですね」
こはるも小さく頷いた。
「でも、ようやく自分の口から認めたね」
渚を揶揄うように目を細めて言う紅葉。
「誰かさんのまっすぐな気持ちに感化されちゃったのかもね(笑)」
照れるように笑う渚。
「え?なんですか??」
「なんでもないよ(笑)でも、明日にでも陽向に謝るよ。私。」
「陽向も何度か謝ろうとしてたみたいだったけどね。」
「だってムカついて……話聞きたくなかったんだもん……」
「陽向くんも悪いですけど、でもちょっと昨日はかわいそうでした……」
クスッ
教室内に3人の小さな笑い声が響いていた。
⸻
翌日
陽向に謝ろうとモジモジしていた渚だったが、
陽向が遅刻ギリギリに担任と教室に入ってきたため、謝るタイミングを逃していた。
そしてHRが始まる。
「え〜、一昨日までに提出するように言ってた、修学旅行の班のリストをまだ出してないやつ。」
「あっ」
「えっ」
「そういえば出してなかった」
教室が一瞬ざわついた。
気にせずに担任が話を続ける。
「昨日の放課後までに確定させないといけなかったので、リスト出していないメンバーはこっちで決めといたから。」
「えー!?」
「勝手に!?」
⸻
「女子は……月城、紅葉、水瀬の3人。それから⸻」
「男子は……朝倉、陽向、百武。次、⸻」
⸻
「はい、以上」
⸻
「……」
正面を見ながら固まるこはる。
「みんな……ごめん……」
渚が申し訳なさそうに呟く。
こはるが真っ先に雪斗を誘っていたこと。
そして渚が陽向と一緒に行きたがっていた事を知る紅葉も頭を抱えていた
(……リストの件完全に忘れてた。)
こはるは、ゆっくりと顔を上げて。
「でも……これで、みんな一緒ですね。」
小さく、そう呟いた。