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──その後のリビング──
ネグとマモンはまだ起きない。
だけど、起きないくせに、やることはどこか大胆だった。
例えば──
ネグがすぅっと体を伸ばし、だぁの手を探すように無意識で掴んできたり。
マモンが夢魔の服の裾をくいっと引っ張ったり、
すかーの指先を両手で包むように握り込んだり。
眠っているのに、まるでわざとやっているような甘え方。
そのたびに、3人は……。
だぁ(……これ……わざとか?わざとだろ……?)
すかー(どこまで心臓試す気だよ……)
夢魔(いや無理……ほんと無理……)
表情は何とか保っているものの、
手元は完全に止まり、スマホも持てず。
ただただ見つめるしかなく、誰も言葉を発せなかった。
そんな時──
ピンポーン
「……は?」
「誰だよ……」
「こんなタイミングで……」
重たい空気の中、3人は目を合わせてから、しぶしぶ玄関へ。
ドアスコープを覗くと、そこには──
レイが立っていた。
「……レイかよ。」
だぁがため息混じりにドアを開ける。
「……何の用だ?」
レイは腕を組みながら一言。
「ネグに会わせろ。」
「お前な……」
すかーが渋い顔をし、夢魔は小さく苦笑い。
「まあ……入れよ。」
仕方なくレイを中へ招き入れる。
リビングへ戻ると、レイがすぐに2人の名前を呼んだ。
「ネグー。マモンー。」
すると──
「んっ……」
「んぅ……」
バッと2人が一斉に起き上がり、互いに手を握り合ったまま、レイの方へトコトコと歩き出す。
「分かった分かった、笑」
レイは苦笑しながら頭を撫でる。
ネグは眠そうに目をこすりながら、ぽつりと。
「あのね、あのね……言われた通り……3人のズボンとかズラしたよ……!」
マモンも続けた。
「俺ね、俺ね……ネグとずっと一緒にいたよ……!」
その姿は完全に褒められ待ちの犬と猫。
だぁ・すかー・夢魔:
(おいおいおいおいおいおいおい……)
(可愛すぎだろ……マジで……)
レイは小さく吹き出して。
「あー……うん、でもさ。足を狙えよ、笑」
ネグもマモンもふにゃっと笑った。
レイはそれで満足したのか、肩をすくめた。
「じゃあ、俺は帰るからな。」
そう言った時──
3人は同時に「やっとか……」という表情。
だが。
「やだやだ……!」
「帰らないで……!」
ネグとマモンが、レイの服を掴んで行かせまいとする。
それを見た3人は──
「は???」
思わず声が重なった。
レイは呆れつつ。
「お前ら……」
それでもネグとマモンはレイの手を引いて、ベランダまで歩いていき──
ネグが指差した。
「あっちに行こうよ! ね?」
そこには、少し離れた場所に止めてあった車。
レイは両手を上げた。
「いやいやいや……だぁ、キレたら怖いしヤダよ……」
だが、その言葉を聞く前に。
ネグとマモンがレイの手をガシッと掴み──
なんとベランダから下へ。
「おい!? おい!!」
「待てって!!」
「ネグ!! マモン!!」
慌てた様子で、3人もすぐに追いかけた。
部屋を飛び出して、全力で。
──そこから数時間──
ネグ、マモン、レイ vs だぁ、すかー、夢魔の追いかけっこ。
逃げては追いかけ、追いかけては逃げる。
何度も繰り返し──
やっと捕まったのは次の日の夜だった。
「……ネグ……」
「マモン……」
「レイ……」
だぁの目は完全に笑っていない。
すかーも夢魔も同じく。
レイはさすがに反省したのか、スマホを取り出し、友人を呼び出す。
その友人の車に乗って、レイは引き下がることになった。
そして──
だぁは静かにネグの肩に手を置いた。
「……。」
ガシッ。
ネグ:(あ、終わった……)
完全に察した表情。
そのままネグとマモンは、高身長な3人に囲まれ、車に押し込まれた。
逃げる隙もない。
──車内──
前の座席には夢魔。
後部座席にはネグとマモン、そしてだぁ、すかー。
だぁとすかーが、ゆっくりと、しかししっかりと説教を始める。
「お前らさぁ……」
「ふざけすぎなんだよ。」
ネグは俯き、マモンも目線を逸らす。
だけど──
2人は無言。
完全に無視した。
それがさらに火に油。
「ネグ。」
「マモン。」
「聞けよ!!」
声が車内に響く。
ネグ:(ああ……終わった……)
マモン:(本当にヤバい……)
3人の声も、2人にはもう子守唄にしか聞こえなかった。
でも、今度ばかりは本当にガチギレだった。
3人の視線、手元、声。
すべてが本気だった──。