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お賽銭を入れ、本殿に並んで手を合わせた。
「何をお願いしたんだい?」
彼に尋ねられて、
「蓮水さんは、何をお願いしたんですか?」
と、訊き返してみた。
「私は、君の幸せを」
「あっ、私も同じです。あなたの幸せを願ったので」
片腕で私の肩を抱き寄せた彼が、「では、二人の願いは叶ったも同然だな」と、顔をほころばせる。
「君が幸せであれば、私も幸せだから」
彼の言葉に、幸せを噛み締める思いでぴとっと寄り添うと、さらにギュッと強く肩が抱かれた……。
お参りを済ませた後、おみやげにとたこ焼きやお好み焼きを買って家に帰って来ると、挨拶まわりに出るからと話していた華さんは、まだ戻ってはいないらしかった。
「挨拶ついでに食事も済ませてくるのかもしれないな。買ってきたおみやげはどうしようか?」
「そうですね、華さんが遅いようなら、二人で食べましょうか」
「そうだな、あまり冷めるとおいしくなくなってしまうだろうから」
「ええ」と、彼に頷いて、「食べるなら、とりあえず着物を脱ぎましょうか?」と、何気なく口にした。
「もう脱いでしまうのか? もったいないな」
すると、彼がそう言って、
「露店で買ってきたものをつまみに、ちょっとお酒を飲まないか。飲みながら、もう少し着物姿の君を見ていたい」
帯を締めた私の腰を傍らにぐっと引き寄せると、耳の奥に熱っぽく甘い声を吹き込んだ……。