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春千夜side



竜胆が可笑しい







まあ、そりゃそうだよな


大好きな

たった一人の

兄貴が死んだんだ

無理もない


あれから3ヶ月



竜胆は部屋から出てこない

呼びかけても返事をしない

部屋の前を通りかかると、たまに痛々しい呻き声が聞こえる




「兄ちゃん」




消えた希望に懇願するような

そんな声

決して綺麗な声とは言えない

けれど

その声に俺は










惹かれた











竜胆side



兄ちゃん





兄ちゃん



会いたい、会いたいよ


なんで、置いていったの?

なんで、俺のこと一人にしたの?


いや、いやだ


1人はいや


もういやだよ……


竜「にいちゃん……っ」

竜「うぅ………」

竜「会いたい……」











蘭「竜胆」











竜「……?」

竜「兄ちゃん?」



蘭「うん、兄ちゃんだよ」





竜「兄ちゃん……ほんと?」






蘭「うん、ほんと」







竜「兄ちゃん……っ」

竜「おれ、会いたかった……!」





蘭「うん、俺も」

蘭「俺も竜胆に会いたかったよ」







竜「兄ちゃん……♡」











………







竜「兄ちゃん?」










………











竜「兄ちゃん……」





竜「……」





竜「ニセモノ」


竜「全部」

竜「嘘」



おれは

ほんもの……?

わからない

わからない

意味が無い

生きてる意味が

希望も

夢も















世界でいちばん

愛した兄ちゃんも










もう、いない














ー2週間後ー




春「竜胆」

竜「……」

春「開けるぞ」

竜「……ん」




ガチャン





竜「……どーしたの」

春「なあ」

春「お前、寂しい?」

竜「……」






竜「寂しいよ」

竜「寂しいよ」

竜「兄ちゃんは、もういない」

竜「俺のいちばんだった」

竜「兄ちゃんは俺の全てだったのに」

竜「もう誰も愛してくれない、愛せない」

竜「もうやだ……」










春「なら、俺が愛してやろうか」











竜「……え?」











春「俺が、お前のことを愛してやる」

竜「三途が……?」

春「俺だけがお前を愛せる」











春「お前は俺だけを見てればいいんだ」














春「な?」












竜「三途……」


春「これ、竜胆のためにいれた珈琲」

春「飲んでくれるよな?」

竜「うん……」



ゴク












くら











竜「兄ちゃん……」

春「どーした?」






竜「さみしいよぉ……」


春「大丈夫、俺はここにいる」

春「竜胆は、俺のもの」

春「分かったな?」

竜「……うん」

春「いいこだな」














春千夜side







春「やっと俺のものにできた」

春「もっと壊してもよかったな」

春「まあ、まだまだ時間はある」

春「ゆっくり、俺のものにすればいい」


















アメジストと、泡沫。

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