テラーノベル
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f「…uh-……」
カチカチ
f「uh-……la-………」
この世は醜い
人は皆醜い世の中で生きている
人ならば誰もが思うであろう
“美しく擦れずに生きていたい”と
まぁこの世界で生きている以上
自分ではない人間と完全には分かり合うことはできない
どうしたって綺麗なままで生きられない
何気ない言葉で人を傷つけてしまうこともある
悪意のない言葉を勝手に刃として受け取って勝手に傷つくこともある
保身に走ることもある
生きる中でそのような「濁り」を避けては通れない
僕は”人間だから”と言う「仕方なさ」が嫌いだ
そう言い切れてしまう「無垢さ」「白さ」が嫌いだ
f「la-la…la-la la-……」
愛しても無駄なのに愛してしまう
人の世を諦めそうなのに結局は信じてしまう
そう言うところが本当「許せない」
醜さと美しさの二律背反、表裏一体、矛盾、相対性…
いやと言うほどこの世はこれらで溢れている
そして醜悪な世界に何度も絶望しかけてはやっぱり信じてしまう
本当に面倒臭い生き物だ
人というのは
それと同時にとても可哀想な生き物だ
愚かで
愛おしくて
惨め
こんなに醜くて可哀想な生き物なんて他にはいないだろう
f「uh-……」
カチ…….カチカチ
f「………よし」
行こうか
雨が降る中傘も持たずに歩いていく
時折雲の間から月が顔を出す
あぁ
月が綺麗だ
やはり醜いものは綺麗だ
月は自ら発光しているわけではない
太陽の光によって光ったように見えている
太陽の光で照らされなければ
ただの岩同然
綺麗とは思えない
だけど醜いものに一手間加えることによって
こんなにも違いが現れるのだ
f「la.la……」
どんなに醜いものでも良さはある
その良さを生かしてあげれば良い
素材の良さを見つけ一手間加えて綺麗にする
それが僕の役目
f「la-……」
ピンポーン
o「涼ちゃんっ」
「めっちゃ濡れてんだけど」
「とりあえず中入って!」
バタン
w「おわっ」
「涼ちゃんじゃん」
「どしたの急に」
o「若井、タオル取ってきて」
w「おう」
・・・
o「涼ちゃんマジでどうしたの?」
f「ランニングしてたんだけど雨に降られちゃって」
「若井の家が1番近かったから雨宿りしにきた」
w「元貴〜タオル〜」
o「俺はタオルじゃねぇっ!」
f「笑笑」
「ありがとう」
「助かったよ」
o「全然いいよ」
「にしても涼ちゃん不運だねぇ」
w「それな」
f「本当にね」
owf「笑笑」
f「嫌になっちゃうよ」
シュー
o「うっ」
バタッ
w「涼ちゃんっ?」
シュー
バタッ
今回の素材はこの2人
元貴の良さは目
若井の良さは手
この2つを最大限に活かして作品を作る
f「la.la-la……」
今回は2人ともに目を開けておいてもらいたい
特に元貴は絶対開けておかなければならない
先に若井の方を完成させてしまおうか
グッ
若井の首に手をかけ一気に締める
すると若井が起きた
手は傷つけないように手袋をはめて体の後ろで拘束済み
w「涼ちゃんっなんでこんなこと…」
f「la.la-lalalalalala-………」
グサッ
w「う”っ……」
「りょ”ぢゃ…」
ゴポッ
ビチャッ
f「la.la.la-la-……」
ピチャッ
ビチャ…ビチャッ
拘束を解いて手袋を外す
良かった
綺麗なままだ
o「えっ?」
「涼ちゃんっ?」
「なにしてんの?」
「はっ…わかいっ!」
「涼ちゃんがやったの?」
「ねぇっ!」
グサッ
o「ゔあ”っ……」
f「la.la-lalalalalala-…」
o「ゆ”る”さな”っ」
ブシャァッ
頸動脈を切った
やっぱ元貴はこの目だよねぇ
誰かを恨んだ醜い人間らしい目
そして
全てを知って達観しているかのような目
綺麗
ビチャッ…ビチャッ
f「la.la.la-la-………」
どこに配置しようか
良いのあるじゃん
元貴の頸動脈から出た血とか
若井からナイフを抜いた時に出た血が付いたソファ
ここに2人をいい感じに座らせる
若井の手で元貴を撫でてるみたいな
そしてこちらを向く元貴
完璧だ
でも何か足りない
もう少し2人がソファに馴染むまで…
f「う”っ…」
頭が痛い
気分が悪い
ものすごく気分が悪い
吐き気もする
いつも作品を作る時にこうなってしまう
こういうときは外に出てみる
スマホも何も持たずにギリギリコンビニくらいならいけそうな格好で
近くの公園に向かい
ベンチに腰掛けて
夜風に吹かれてみる
風が気持ちいい
僕の汚い心も洗ってくれるような
そんな気持ちの良い風
周りに人はいない
真夜中だからそりゃそうか
深呼吸をしてみる
肺いっぱいに空気を吸い込む
そして吐き出す
少しは頭痛が和らいだみたいだ
一度気持ちを落ち着けて
家に帰ろう
そろそろ作品ができている頃だろう
公園を後にして僕は帰路に着いた
玄関のドアの前にたち
深呼吸をしてからドアを開ける
いつ嗅いでも慣れない異臭がする
r「元貴、若井ただいま」
返事はない
部屋は散らかったままだ
所々に赤いシミがある
リビングに向かう
元貴と若井がソファに微動だにせず座っていた
r「元貴、若井」
元貴と若井は返事をするどころかこちらを見ることもない
r「っ……」
目に光がない
息もしていない
暗く、散らかっているへやのソファに
ただ2人で並んで座っているだけの光景
美しい
血に濡れた部屋
死んだ2人
r「綺麗…」
僕の目に狂いはなかった
部屋を照らすのは月光のみ
月光に照らされた血がきらきら光って綺麗
元貴の虚な目が綺麗
若井の血で濡れた血色のない手が綺麗
僕は写真を撮った
r「綺麗…ものすごく綺麗だよ」
「僕とは違って」
とても綺麗な元貴と若井
そして
とても汚い僕
月とスッポン以上の差がある
元貴と若井を抱きしめる
冷たい体
僕とは大違い
本当に綺麗
美しい
r「はぁ…♡」
最高傑作ができた
僕の部屋に行き撮った写真を印刷する
そして作品アルバムに入れる
画像の方もアップロードしておこう
綾華と高野以来の最高傑作
綾華と高野もとても綺麗
この2人にしか出せない良さが出ている
もう一度リビングに戻る
r「っ……♡」
本当に綺麗
写真よりも実物の方がよっぽど
実物を楽しめるのは今だけなので存分に楽しんでおこう
元貴と若井、綾華と高野を素材にするのは出会った時から決めていた
それぞれの素材には旬がある
僕は1番素材が綺麗な時に殺してそれを作品にする
改めて自分を見つめ直してみると僕っていいことしてるよね
汚い人間を綺麗な作品にする
擦れることなく綺麗なままで
作品もだんだん増えてもう百を超えた
ネット上に作品を挙げると結構な反応を貰えるし
僕の作品が社会でも認められてると思うんだよね
裏の方では僕の作品が結構人気で
お金にもなるし
世のためになって
稼げるって最高じゃん?
もっともっと人間を綺麗にしたい
次はどうしようかな
どんな作品を作ろうか
どんな罪人でも僕が綺麗にしてあげるから
ね?
目星をつけておいた素材リストを見ながら次の素材を決める
最高傑作が増えるといいな♡
コメント
2件
最初の方ところどころ歌詞入ってるの好きです笑