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「ところで君、学校は? また無断早退?」
「しっかりしろ。今は夏休み中だ。夏梅のお母さんから夏梅が体調悪くて寝込んでると聞いて飛んできたんだ」
そういえば、母と彼女はSNSでつながっているそうだ。母親と息子の彼女がSNSでつながってるのってあまり普通のこととは思えないんですけど――
「体調悪いと知っててあんなイタズラしたの?」
「体調が悪いと聞いたから、お腹が冷えないように上半身の毛布はかけたままにしておいた」
「ありがたくて涙が出るよ」
「なんでそんなに喧嘩腰なんだ? 確かにボクもちょっと調子に乗りすぎたかもしれないが、いつもの夏梅の反応と違いすぎないか?」
「別に……」
さすがの彼女もあせりだしたようだ。思えば今まで僕は彼女に従順すぎたかもしれない。僕はもっと彼女に思ったことを言うべきだったのだ。彼女との交際を継続するのならなおさら。
「昨日、抱きしめられて本当にうれしかった。ボクを選んだことをもう後悔してるのか? ボクを振るなら抱きしめる前に振ってほしかった。こんなに期待させてから振るなんてひどいじゃないか」
「君と別れたいとまでは思ってない。ただちょっと今は、なんというか一人にしてほしいんだ」
「よく分からないが、何か悲しいことがあったんだな? そういうとき恋人ならそばにいるべきなんじゃないか。一人にしてほしいと言われて、どうしようもなくボクは悲しい」
メンヘラだけど彼女は優しい。分かってる。これは彼女の問題ではなく僕の問題。彼女にチャラ男の性欲処理の道具にされていた過去があることは、初めて彼女と話したときに教えられて分かっていたこと。彼女に限らず、非処女と交際するとはきっとこういうことなのだ。