⚠️囚人rd 看守gtの物語です⚠️
基本的にgt視点で話が進みます。
捏造多めなのでなんでも許せる方以外回れ右を推奨します!
拙い文章ですが楽しんで頂けたら幸いです。
士官学校を卒業し、刑務官に就任してから早数ヶ月。自分で言うのもなんだが、同期よりも活躍しているし先輩の成績も抜いている。所謂期待のルーキーと言ったところ。俺の将来は安泰だな。特に強い希望を抱いてこの職に就いた訳ではないが、意外と性に合っていた。
まぁそれはさておき、今では終結しているが数年前には世界戦争が起きていた。我が国は見事に勝利を収め続け、その勝利を説明するにはある1人の英雄を紹介せざるを得ない。その軍人は最前線を駆け抜け、1人で大隊を壊滅させることができるほどの強さだったらしい。その強さを賞賛してか恐怖してか、人々は彼に『青鬼』の異名をつけた。そして戦争が終結した現在、青鬼はその強さを恐れた政府に捕らえられているとのこと。
なぜこの話をしたかというと、今日から配属される刑務所にその青鬼がいるらしい。実際俺が看る囚人の情報は渡されていないし、可能性はあるのではないか?と期待に胸を躍らせている。幼い頃、1度だけ凱旋した彼の姿を見たことがあった。怪我ひとつなく弾けるような笑顔で民衆を見つめる彼に憧れた。そんな彼が収容されたと聞いた時、どんな気分だったか。今でも忘れることはない。
「今日から配属されるぐちつぼというのはお前のことか」
刑務所所長に挨拶を済ませたところで、先輩看守に囚人の所へ案内してもらえることとなった。途中何やら可哀想なものを見る目で見られたが、なんなのだろうか。もしかして囚人が問題児とか?最悪だな。
と思っていたら牢獄ゾーンを抜けて、地下室にでも続いていそうな階段を下る。灯りが壁に設置されている松明くらいしかないので足元が覚束無い。まぁ踏み外しても受け身取れるけど。
「着いたぞ」と言われ前を向くと明かり一つない真っ暗な部屋。ここから先は俺一人で進めということか。電気のスイッチを押して明かりをつけると、独房と書いてある看板が見えた。いくら俺が優秀だからって新人に独房の囚人任せる??ヤバいだろ…
明かりをつけたおかげで先程とは打って変わって明るくなった廊下を進む。案外すぐ牢屋の鉄格子が見えて、中にいるであろう囚人に声をかけた。
「今日からお前の看守を勤める、ぐちつぼだ。よろしくな」
「……はじめまして?今度の看守は若いな〜、新人?」
中から聞こえた声に耳を疑った。この声は、あの時憧れた人の声ではないのか。いや、だがそんな重要人物を俺のような新人に任せるか?奥が暗くて顔を確認する事ができないし、あの時1度聞いただけなので確信もない。そんな疑問が渦巻き無言の時間が続く。その静寂を打ち破ったのは彼だった。
「俺らっだぁ。よろしく看守」
暗闇から顔を出したのはやはり英雄だった。ボロボロの服を着て、不衛生な環境のせいか多少荒れた肌をしているが、間違いなく彼は青鬼だった。青い髪を揺らし、サファイアのような瞳をこちらに向けて微笑んでいる。
「……あお、おに…」
「お、なぁに俺の事知ってんの〜?いや〜有名人は困っちゃうわねぇ」
「…本当に、アンタが青鬼なのか」
「お前の中で俺はどんなイメージなんだよ」
「強くてカッコよくて飄々としてる。こんなちゃらんぽらんな感じじゃ…」
「おい悪口だぞ。…ま、お前くらいの歳のやつは俺に幻想見てるやつが多いからな。全盛期の俺に憧れちゃって」
「………」
「…せいぜい頑張れよ、看守。変なこと考えずに淡々と仕事に打ち込め」
そう言って俺に手を振った彼の瞳は、笑顔を貼り付けているにも関わらず真っ黒だった。
俺のこれからは、どうなっていくのだろう。確かこの人は死刑囚だったはずだ。俺にこの人が殺せるのか?まぁ俺が無理だと言ったところで別の看守が執行するだけなのだが…
期待していたにも関わらず、実現していざ目の前に立たれるとどうすることも出来なかった。感動と畏怖と哀情がごちゃ混ぜになっていて気持ちが悪い。
そんな俺を、感情の読み取れないサファイアがただ見つめていた。
コメント
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続きは好評でしたら随時出していきたいと思ってます……