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「今宵もお待ちしておりました」
そんな声が聞こえて私は少し幸せな気持ちになる。
「こんにちは、夢さん。また来ましたっ」
「またお越しくださってありがとうございます。奥の席へどうぞ」
その声と同時に私は席へ着く。
今日は夢さんへプレゼントをしに来たのだ。
「あの、今日はプレゼントがありまして….」
「あら、嬉しいですね。なんですか?」
「えーと….髪飾り、なんですけど….」
そう前置きを置いて私はリナリアの花を模した髪飾りを渡す。
「んーと… この花は?」
「リナリア、です」
「なるほど….リナリアですか」
「ぜひつけてみてください」
私がそう言うと、夢さんはその髪飾りを付けた。
「どうでしょうか?」
「とても似合ってます!」
そう言うと、夢さんは嬉しそうに微笑んだ。
「有難うございます。ご注文はいかがしますか?」
「では….クリスをお願いします」
「かしこまりました」
私はクリスが来るのを待つ。
これは私からの、アピールだ。
最近私はカクテルの勉強を始めた。
クリスのカクテル言葉は、「私を信じて」。
ここを起点に、私は関係を進めるつもりだ。
「朱里様のようなお客様は初めてですよ」
不意に夢さんがそう言った。
「え?私のような人が、ですか?」
私はそう聞き返す。
「えぇ。バーという場所には本当に様々な職業の方が来ますが…朱里様を前にするとなんだかゾクッとするんですよ」
そう微笑みながら言った。
「な、なるほど…」
そうして夢さんと雑談に花を咲かせ、気付けば帰らなきゃいけない時間になっていた。
「あ、私そろそろ帰りますね」
「承知致しました。またのお越しをお待ちしております。」
私は決済を済ませて退店した。
私は退店する朱里様を見届けた後、ため息をついた。
「はぁ….」
私は様々な人を見てきたので、視線で大体の感情がわかる。
そして朱里様は….憧れとも、恋する乙女とも解釈できる視線を私に向けてくる。
「あの方は気を付けないとですね….」
そう独りで呟き、グラスを洗う。
しかし何故だろう。
妙な胸騒ぎがする。
「….ふふっ」
同時に、不思議と笑みがこぼれる。
朱里様からは何かを感じるのだ。
「その時がいつ見れるのか楽しみですね….」
いつか私が攻略されてしまうのではないかと感じてしまう。
だがそれもまたいいだろうとも感じた。