夜の街は静まり返っていた。
だが、闇の奥に、じわじわと不穏な気配が
漂っている。
屋上から下を見下ろすと、突然、
爆発が夜空を裂いた。
炎は周囲に広がるが、建物は無傷。異様な光景だ。
「なんだ…あれ…?」
思わず声が出る。
隣でカイザーが眉をひそめ、鋭い目で観察する。
「脳ミソも飾りじゃなかったか…笑」
彼の口調は苛立ち混じりだが、どこか楽しんでいるようにも聞こえた。
俺は空中の敵を凝視する。
「面は被れ」とカイザーが言う。
こいつは人の行動をよく見ている。
俺があそこに行きたいと
思っていることがバレバレだ。
「はいはい」
素早く応え、俺たちは屋上から地上へ降りた。
地に足をついた瞬間、地面のコンクリートが
次々と鈍い音を立てて割れていき、
砂埃が舞い、俺は砂で姿を濁す。
ただの着地とは思えない威圧に、場の空気が凍る。
「随分と楽しそうなことしてるなぁ…」
緊張と高揚が、体を駆け抜ける。
脳が命令する――速く動け、動け、と。
その感情(エゴ)に俺は身を任せる。
「俺も、混ぜてくれよ…?」
第3話 脳みそ
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