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午前1時
玄関ドアにかけた手が汗ばむ。
開けた先、暗い玄関には元貴が立っていた。
「どこ行ってた?」
世界を熱狂の渦に巻き込むその声が低く問い詰める。
「仕事だって、言ったじゃん」
「嘘つき」
襟元を掴まれる。振りほどこうとしても元貴の指は離れない。
「香水が違う」
言葉に詰まる、何も言えない。
元貴の鼻先が俺の首筋に寄る。
熱に犯された息が肌を撫でる。
「誰の匂い?」
「もと――」
「答えろ」
指先に力が込められる、思わず目を閉じた。
「打ち上げで、……飲んだだけ」
「女?」
「…………うん」
元貴の顔が歪む。
一言も発されず、寝室へ引きずり込まれる。
雰囲気に気圧されてそのままベッドに押し倒される。
「……俺だけ見てればいいのに」
消え入りそうな声で切なげに呟く。
目線は胸元に、
シャツのボタンが外されていく。ひとつ、またひとつ。
「元貴……ほんとに仕事なんだよ」
「知らねえ」
唇が首筋に押し付けられる。
鎖骨あたり、容赦なく歯を立てられる。
「い”っ……明日撮影………跡が残るだろ」
「何?」
大森の手が俺の身体を這う。
執拗に、丁寧に。
思わず天を仰ぐ
分かっていた、こうなることは。
元貴は俺の予定を全て把握したがる。知らない人間と会うことを許さない。
俺の世界から、元貴以外の全てを排除したがる。
異常だと思う。
でも――
「もとき」
名前を呼ぶと、動きが止まる。俺は手を伸ばして、元貴の頬に触れる。
「お前だけだよ」
元貴の真っ黒な瞳が静かに揺れる。
「……ほんと、?」
「うん」
元貴が俺の胸に顔を埋める、…泣きじゃくった子供みたいに。
元貴を慰めるように撫でた。
この関係は狂っている、それでも手放せない
ーこの狂気こそ、俺が生きる証。