テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⚠少しグロテスクな表現あり
あらすじでも言った通り、きどりみんとさんのパクリではないです!
2人で話し合ってこの話の設定の大まかなものは決めて、同じにしているのできどりみんとさんと私の世界観の違いを楽しんでください!
・ぴちめんがちにます
・殺人ピエロ入れてます
・なおるな要素たっぷり。地雷は読まないでちょ
・少しもふどぬ、もふるな、じゃぱのあ、えとゆあ要素もあるかも
・悪役もぴちめんです
・設定とか、もしかしたらガバガバになっていくかも
ここらへんが大丈夫な人だけ読んでください!
書き方下手ですが許してくださぁぁぁあい
ーーー
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
廊下で響き渡る悲鳴。
悲鳴がした教室に足を踏み入れると、そこは血の海だった。
第1発見者と思われる女の子は座り込んでしまっていて、恐怖心のせいかすすり泣いていた。
暗くて女の子の姿形はよく見えない。
僕は足が震えた。入り口から先へ進めない。
怖い。
(あの人…手足が…)
四肢がもがれたその生徒は目に光がなく死んでいた。呼吸音が聞こえなかった。
駆けつけた先生たちが僕とその女の子を教室から出す。周りに集まっていた生徒たちも追い払われていた。
この事件が、すべての始まりだった。
ーーー
(一体、何が起こっている…?)
恐怖と気持ち悪さで頭も気持ちもぐちゃぐちゃだった。気持ち悪い。吐き気がする。
血の匂いが鼻から抜けない。あの真っ赤な光景。
思い出すだけで足が、体が震える。
僕、青柳(あおやぎ)なおきりがこの高校、虹色高等学校に入学したときから、今日まで、ずっと平和だった。
僕は3年生で、今は9月。2学期が始まったばかりだ。このまま何事もなく卒業できると思っていた。
「なおきりさん、だいじょーぶ?」
声が聞こえた方を向くとそこには同じクラスで親友の狐尾(きつねび)どぬくさんがいた。
「どぬくさん…。」
「四肢がもげてたんでしょ…?物騒だよね…」
「殺人…なんでしょうか。」
「そうらしいよ、切られた跡があったらしいし」
あの光景がフラッシュバックする。視界がチカチカと歪む。
「うっ…っ、」
「なおきりさん!?」
僕は気分が悪くて早退した。
この時の僕はこの先裏切られること、親友を失うということに気づいてすら、予感すらしていなかった。
自分のことで、精一杯だった。
ーーー
「はぁ…」
あの出来事があって、最初の、次の日の登校。
雨が土砂降りで僕は少し大きめの傘をさして歩いていた。
体が重いし、なによりあの殺されてしまった生徒。一体何があったんだろうか。
気になって、あまり寝れなかった。
(夢だったらよかったのに)
そんなことを思いながら重い足を前へ前へと進めていると明るい声が聞こえた。
「なおきりさん!!」
そこには隣のクラスの水芭蕉(みずはし)るなさんがいた。
「傘いれてくださーい!」
るなさんは傘を持っていないのか、鞄を頭の上に持って傘代わりにしていた。
「いいですよ、この傘大きいですし」
「やったー!ありがとうございます!」
所々るなさんは濡れていて、僕は拭けるようにとハンカチを渡した。
「これで濡れた所拭いてください。風邪ひいちゃいますよ。」
「わぁ!色々ありがとうございます、なおきりさん!」
るなさんの笑顔は太陽に見えた。
暗くて重かったはずの心と体が一気に軽くなった。
「るなさんの笑顔はずっと素敵ですね」
無意識に言葉が出た。
「へっ!?え…あ…そ、そうです…かね、?」
「わっ、ご、ごめんなさい!つ、疲れてるのかな…?変なこと言ってすみません!!」
自分の言った言葉に初めて気づき、慌てて謝る。
「いや、変なことじゃない…ですよ?嬉しいです!」
「へ!?あ、な、ならいいんですけど…」
「は、はい!」
るなさんも、僕も顔を、耳も真っ赤にして見つめ合う。
沈黙の時間が流れて、目を逸らしたくなったがるなさんがまた話を振ってくれた。
「あ、あの!」
「はい…?」
「昨日の…その、殺人…みたいなの、なおきりさんも見たって聞いて、その後も気分悪くして早退したって聞いて!!大丈夫…ですか?」
「え、」
聞かれると思っていなかったことを聞かれて言葉に詰まった。
正直言って大丈夫ではない。けれども、心配をかけるわけにもいかない。
「まぁ…だい…じょうぶです」
「なら、いいんですけど…」
「どうして…知ってるんですか?」
るなさんとは、別のクラスだ。なぜ知ってるのだろうか。誰か、情報を流したのか?余計な心配をかけてしまって申し訳ない気持ちが溢れる。
「るなが、聞いて…え、と…その、なおきりさんのことすき…で、いや!!!違う…えー…と、その…普通に…心配で、」
「へっ?」
なんか今、好きという言葉が聞こえた気が…。
(気のせい…ですよね。僕も好きです…って反射的に…言うところでした…。)
るなさんとは中学生からの仲で、ドジだったり明るかったり、少し幼い感じで妹的な存在だった。
高校に入学してからクラスは分かれてしまったけど、それまではずっと一緒で僕は明るくていつも笑顔で、楽しそうなるなさんの姿が好きだった。
いや、るなさんが好きだった。
けれど、るなさんは恋愛に興味がなさそうだし僕はこの気持ちをしまい込んでいた。
気持ちを伝えることでるなさんのこの姿が、笑顔が失われるなら、言わないほうがいい、と思ったからだ。
(卒業までに…伝えたほうがいいんでしょうか…。)
もう二学期。大学まで一緒になれるとは限らない。受験で忙しくもなる。一緒に話したり、いれる時間はもう少ない。
そんな事を考えていると、もう目の前に校門が見えていた。
「おはようございます!」
聞き覚えのある声だな、と傘を少し上げると風紀委員で学級委員長、同じクラス&親友の、紫耀(しよう)もふ君が挨拶運動をしていた。
「もふ君おはよう!」
「おはよーございます!もふさん!」
もふ君は僕たちに手を振ると、何に目がいったのか、るなさんをキッと睨んだ。
「るな?自分の傘ないの?」
「あー…えっと、全部なくしました!」
るなさんは何故かドヤ顔で言っている。
なんだかおかしくって、僕は笑ってしまった。
「あははっ、なんでドヤ顔なんですか!」
もふ君は呆れたような、笑っているようなそんな顔をしてるなさんに注意をした。
「なお兄に迷惑かけちゃダメだからな」
「わかってます!!」
「よろしい」
むう、とるなさんは頬を膨らましてプンスカ怒っていた。
「朝からあんな睨みつけてくるなんて!!もふさん嫌いー!!」
幼子のように騒いでいるるなさん。朝からずっと元気で、僕は一緒にいるだけで口元が緩んでしまう。
(あ…もうクラスについてしまいましたか…。)
るなさんと別々になるのは寂しいが、下校の時にまた会えるだろう。
僕たちは廊下で手を振って、自分たちのクラスに入った。
僕のクラスは5組。るなさんは隣の4組だ。3年生は5クラスで形成されている。
5組は僕、青柳なおきりと紫耀もふ君、狐尾どぬくさん
4組には確か…親友の、桃木(ももき)のあさんと黄輝(おうき)たっつんさん、そして水芭蕉るなさんがいて
3組には緑竜(りょくりゅう)じゃぱぱさん、赤空(せきそら)ゆあん君
2組には橙海(とうかい)えとさん、黒夜(くろや)うりさん
1組には白皇(はくおう)ヒロ君と希翠(きすい)シヴァさん
皆僕の親友だ。クラスが分かれて、忙しくなって遊ぶ機会がなくなってしまったけど、話したりお昼を食べたり、気軽に集まって話したりなどはよくしている。少し多いけど12人のイツメンって感じだ。皆面白くて、個性豊かでにぎやかだ。
僕の学校生活はその12人がいるから楽しいし、頑張れる。
誰一人欠けてはいけない、大事な、大事な親友だ。
ーーー
教室に入ると何やらざわざわとしていた。
チャイムの鳴る5分前なのに落ち着きがない。
「どぬくさん、何があったんですか?」
僕は隣の席のどぬくさんに聞いた。
「あー…なおきりさん。実はね、昨日の殺人、生徒が生徒を殺した可能性が高いらしくて。犯人捜しみたいなのが始まってるんだよね。」
「えぇ…なんだか…嫌な空気ですね」
「それで今一番疑われてるのが、第一発見者だったのあさんらしくて」
「え?」
第一発見者…あの座り込んでしまっていた女の子。
のあさん…だったのか。暗すぎて何も見えなかった。
「陰口とか、なんなら直接問い詰めに行ったりとかもしてるらしくて」
「何それ…酷すぎませんか…!?いくらなんでも…」
のあさんがそんなことをするはずない。
どぬくさんもきっとそう思っているはず。
証拠もないのにいいたい放題言う人たちに腹が立ってくる。
「絶対さーあの桃木とか言う人だよねー」
「第一発見者なんでしょー?無理無理怪しすぎ」
そんな声が聞こえてくる。
怒りに身を任せて怒鳴ろうとした時だった。
ピシャン、と教室の扉が開く。
「早く座って。もうチャイム鳴るんだけど。」
そこに来たのは挨拶運動を終えたもふくんだった。
さっきまでうるさかった教室が一気に静かになり、皆不満気な顔で席に着く。
もふ君も自席について、そこから少ししてチャイムが鳴った。
ガラリ、と先生が入ってくる。
「皆…先生達、昨日の事で忙しいから誰もつけないんだ、だから自習しててくれ。休み時間じゃないから好き勝手やるなよ。」
そう言い残して、走って教室を出ていった。
「皆、各自しっかり勉強してね。休み時間以外、教室出ないように。」
もふ君は学級委員長らしくクラスに声を掛ける。
「はぁい」
皆は渋々ノートを出して勉強を始めた。
(さて…僕も勉強しますか…)
そう思って、机の中に手を伸ばした。
クシャリ。
紙が入っていた。
(こんなの…僕入れてましたっけ?)
手につかんだその紙を引っ張り出し、しわになったところを広げる。
そこに書いてあったのは__
オマエノジンセイコワシテヤル
その一文だけだった。
赤い液体で、殴り書きしてあった。
ひゅっ、と息を呑む。背筋が凍る。
(え…?なんで、僕が、なん…で?)
その時、甲高い笑い声が聞こえたような気がした。まるでピエロのような…そんな笑い声が。
周りが見えなくなった。
嫌な想像ばかり浮かんだ。
(僕…死ぬん…ですか?壊す…って…どう…やって…)
「なお兄?」
「あっ」
気が付いて、慌てて横を見ると不思議そうに僕の顔を覗き込むもふ君がいた。
慌ててその紙を机に突っ込む。
「もう休み時間だよ?」
「え、あ、あぁ、ほんとだ…ごめんねもふ君!!!声かけてくれてありがとうございます!」
「何か思い詰めてそうな顔してたけど、何かあったの?」
「いや…なにも!」
「そっか、ならいいんだけど…。」
流石、学級委員長。皆のこと、よく見てるんだな、と感心する。
スタスタと教室を出ていったもふ君を見て僕はふと思い出した。
(のあさん、大丈夫ですかね…)
心配でるなさんとたっつんさんもいる4組に僕は向かった。
少しだけ覗いてみると、すぐ目の前でるなさんと、その他の人たちで言い合いのようなものをしていた。
「だから!!証拠もないのにのあさんが犯人だなんてデタラメ言わないでくださいよ!!」
「はぁ?なんで桃木のこと庇うの?お前もグルなの?」
「なんで誰かを疑う思考になっちゃうんですか!?先生から何も話がないじゃないですか!!殺人だって、言い切られてもいないです!!」
るなさんは後ろ姿しか見えないけれど、るなさんの後ろに、すすり泣いているのあさんがいた。
きっとるなさんはのあさんのことを守っているんだ。優しくて言い返せないのあさんはめちゃくちゃに言われてしまうから。
「のあさん、」
誰かの声が聞こえた。声の聞こえた方を見ると、じゃぱぱさんだった。
「じゃぱぱ…さん、」
「人気(ひとけ)の無い場所…行こう。」
「はい…」
じゃぱぱさんはのあさんの手を優しく握って教室から離れようとした。その時に僕も声をかけられた。
「なお兄、るなのこと守ってあげてね」
「えっ」
そう言って、じゃぱぱさんとのあさんは小走りでその場を去った。
(まも…る、)
るなさん達の言い合いは激しくなっていた。
るなさんからは見えない、でも僕からは見える場所に手を広げて振り上げている人がいた。
でも、気づくのが遅かった。
僕が動いた頃にはもう、振り下ろされてしまった。
ぱあんっ
痛々しい音が廊下に、教室に響いた。
ものすごい勢いで叩かれたるなさんはよろめいて、その場に崩れ落ちかけた。その時だった。
僕の体は、僕が動こうとする前に動いていた。
気付いたら腕の中にるなさんがいた。
「お前…誰だよ」
頭上から鋭い声が聞こえた。
体勢を崩し体育座りをして、るなさんを抱えていた僕は、目線を上に向けた。そして、その目線がずれないように、ゆっくりと立ち上がる。
「手を出すのは…最低だと思います。」
少し気を抜いたら怒鳴り散らしてしまいそうな気持ちを抑えて、震える声で話す。
「それは…」
う、と返す言葉に困っている様子だった。
「なお…きりさ、…大丈夫…ですよ、」
頬が真っ赤になっているるなさんはかすれた声で、僕の腕の中でささやいた。
静かになった4組の人たちに背を向けて、僕は保健室に向かって歩き始めた。
ーーー
「それじゃあ貼りますよ?」
「え、あわ、あ、あ、そ、その!自分で、や、やります!!!」
僕が頬に湿布を貼ろうとするとるなさんは慌てて僕から湿布を取り上げた。
「あっ」
(自分で貼るって…難しくないですかね…)
るなさんは真剣な表情で湿布と戦っているが、貼るのがやはり難しそうだった。
「うぅ…」
(保健室の先生が、いたらよかったんですけど…。)
先生は不在で、保健委員もいなかった。
保健委員だったるなさんに聞いたら、先生達がいないからみんなサボってるんじゃないか、と言っていた。
目の前にいるるなさんは湿布が貼れないようで、ジタバタしていた。
「うわー!!もう!!貼れないよー!!」
「やっぱり、貼りますね」
そう言うとるなさんは渋々湿布を僕に渡した。
「よいしょ」
赤く腫れた所に丁寧に湿布を貼る。
「ありがとう…ございます、」
るなさんは僕のいない方向を見ながら、口を尖らせて言った。
(まあそりゃぁ…異性に触られるって嫌ですよね)
「すみません」
おずおずと謝るとるなさんは顔を真っ赤にして慌てた。
「え!?あ、いや…嫌じゃ…ないですよ!?」
「んぇ、?じゃあ…さっきのは、」
「その…うれしく…て、」
「へっ?」
「や、やっぱなんでもない…デス…」
(朝から…一体…るなさんはどうしたんでしょうか?)
なんだか今日のるなさんはずっと顔が赤い。
熱でもあるのだろうか?
僕はゆっくりとるなさんの額に手を伸ばす。
「え、え、な、な、な、なおきりさん!?」
「ちょっと…失礼します…」
するりと前髪を上げて手を当てる。
なんだか少し暖かい。やっぱり、体調が悪いのだろうか。
「熱…ありませんか?大丈夫ですか?」
「ねっ…!?熱じゃないですよっ!!!なおきりさんってほんと鈍感なんですから!!」
「どん…かん?」
「あゎっ…る、るなってば…また変なこと…」
(え…?も、もしかして…)
るなさんはぶかぶかな制服の袖で顔を隠していた。ようやく気付いた。
(るなさんは…た、たぶん…僕…のこと、)
ちらりと後ろを見て誰もいないことを確認する。扉は閉まっているし、まず保健室に来る人もいないだろう。皆やりたい放題やっていたし…。
休み時間も、いつまでなのかわからない。
上の階はまだガヤガヤしていた。
「あ、あの。」
勇気を振り絞って声を出す。
「僕もるなさんのこと…中学の時から好きで…。」
「え?」
「だから、るなさんも僕のこと良く思ってくれているなら…嬉しいん…ですけど、」
るなさんは衝撃だったのか固まってしまっていた。顔が真っ赤なまま、動かない。
(まずいこと…いってしまいましたかね…?でも…この機会は…逃したくありませんでしたし…。)
僕が焦っていると、るなさんが口を開いた。
「えと…その…私…でよければ…つき…あいませんか…?」
「っ…。もちろん!」
その時ガラッと勢いよく扉が開いた。
「えっ、あっ」
そこに立っていたのはうりさんだった。
「こ、こんにちは〜…」
「こっ、こんにちは!!」
僕とるなさんは目を逸らしながら気まずそうに挨拶をする。
「お取り込み中失礼しましたッ!!」
バン!と今度は勢いよく閉められた。
「ちょっと!?うりさん!?大丈夫ですよ!?入ってください!?w」
「じ、じゃあ…失礼します…」
うりさんは気まずそうに保健室へ足を踏み入れた。
保健委員であるるなさんが、不思議そうに来た理由を聞く。
「どうしたんですか?」
「あ、いやー、授業サボりに来た」
「え。」
「だってぇ!!みんなうるさいんだもぉん!」
うりさんはうわーんと叫ぶ。
「まあ、いいんじゃないですか?」
僕はうりさんに言った。
「だよねだよね!!やっぱりさすがなお兄。わかってるね〜!」
「サボり過ぎもよくないですからね!!
るなが言えたことでもないんですけど!!」
グシャッ
何かを潰すような、不快な音が急に廊下に鳴り響いた。
「え…?」
3人で口を揃えて、一斉に扉の方へ向く。
グシャッグシャッグシャッグシャッ
その音は鳴り止まず、鳴り続けた。
「この、音って…職員…室…から」
うりさんが顔を青ざめて、職員室がある右の方の壁を指さす。
るなさんが扉の方へ駆けてって、様子を見に行こうとしたが、僕は嫌な予感がしてるなさんの腕を強くつかんだ。
「何…があるかわかりません。一応…隠れましょう。」
「っ…わかっ…りました。」
「あ、あそこの、ベッドの下にしよーぜ」
僕達は保健室の電気を消し、鍵を内側から閉めて3人で高さがあり下に割とスペースのあるベッドの下に寝そべって隠れた。
誰かの歩く音が、徐々にこちらへ近づいてくる。
「ね、ねぇなお兄、俺たちし、死ぬのかな…」
うりさんは顔を真っ青にして、苦笑を浮かべていた。
「大丈夫…ですよきっと…」
オマエノジンセイコワシテヤル
あの時見た紙の言葉が頭によぎる。
「っ…ぼ、く、変な紙…が、今日…机の中に入っていて…」
「え…なおきりさんも…ですか、?る、るなも…。」
「お、俺も…。怖くて…誰にも相談できなくて…」
「それと…関係あるんですか…ね、殺人?事件は…。」
バン
扉が乱暴に叩かれる。
「ひっ…」
るなさんがびくりと僕の方へ寄る。
「大丈夫…」
寝そべりながら、上半身だけ少し起こし、るなさんの震える肩に手を置く。
ガシャンッ
扉の外れる音がした。
(そんな…。化け物…ですよね…これ…)
心臓の鼓動が速くなる。足音が徐々に、徐々に近づいてくる。
隙間から足が見えた。
(なんだか…ピエロ…みたいな…。)
ここの制服ではない、黄緑色の生地のズボンだ。
まばたきをした、その一瞬で、黄緑色のズボンからここの制服に変わっていた。
「え?」
そして、殺されると思いきや、慌てて走ってどこかへ行ってしまった。
僕は周りの安全を確認するために、ベッドの下から体を出す。
扉が外れ、転がっているだけで荒らされた形跡はなかった。が…。
「血…が…」
扉が元々あった場所が大きく空き、廊下が見えた。
廊下には血痕が残っていて、ぞわりと、鳥肌がたった。
るなさんとうりさんも、気付いたら両隣に立っていた。
「しょく…いんしつ…行ってみましょう。」
2人の顔は一瞬歪んだが、力強く頷いた。
僕達は血痕を辿って職員室へ向かった。
ーーー
「っ…」
そこは、言い表しようもないほどひどい光景だった。
血の匂い。あの時と、同じ…。
「うっ…ぐっ…」
気持ち悪い。
僕はふらふらな足取りで後ろへ下がる。
「ちょっと…どうすんだよ…これ…。」
うりさんは、もう顔が真っ白だった。
確かに、先生たちが全滅となると、指示を出す人が誰もいなくなってしまう。
「まず…、皆に伝えませんか…?」
るなさんは震える声で話していた。
「それっ…も、そうです…ね、」
僕達は口元を押さえながら、教室へ向かい始めた。
足が重い。視界がかすむ。
それでも、手すりに必死に掴まって僕は階段を登った。
涙ぐみながら、2階の3年生のフロアに着いた。
るなさんとうりさんは、自分のクラスに走っていった。
(とり…あえず…もふっ…くんに…)
「なおきりさん…?」
ゆっくりと声の聞こえる方を見ると、たっつんさんがいた。
「顔真っ青やないか…。そっちも…何かあったんか?」
「せんせい…たちが…ぜんいん…ころされてて…」
「は?」
事情を説明しようと、深呼吸をした。
すると、鼻から血の匂いが抜け、少しだけ楽になった。
「職員室で、グシャッという何かが…潰されるような音と共に先生たちが全員殺されたみたいで…」
「殺された?なにか証拠があるん?」
「僕はうりさんと、るなさんと保健室にいたんですけど職員室から足音が聞こえて…こっちに近づいてきて…。殺人犯がいることは確定と考えて良いと思います。」
「…殺人ってことで、間違いないみたいやな…。こっちも…。」
「そっちも何かあったんですか?」
僕がそう聞くと、たっつんさんは険しい顔をしながら、言い放った。
「3年生以外…血痕だけ残して、消えてしまったんや…。」
「え?」
「俺…じゃぱぱと環境委員会でさ。後輩に用があったから、2年と1年のフロアに行ったんよ…。そしたら…教室中全部血まみれで…。」
「血痕だけ…なら死体の処理が追いついたってことなんですかね…?」
「いや…。俺たちが一番下の1年のフロア行った時、そこにいた誰かが立ち去るような音がしたんねんな。死体の処理はできたけど血痕が残ってるなら…俺たちが来たから完璧に終わらせられなかったんちゃうかな…と思ってるんやけど…。」
「今さっき…ならこっちの事件とほぼ同時刻の犯行になりませんか?」
「確かに…。」
(ということは…。)
「「殺人犯は…二人いる…?」」
2人で推理が一致した。
こんな事を考えずに、皆で大人しく殺されていればあんな思いはしなかったのかもしれない。
仲間を目の前で失うこともなかったのかもしれない。
でも僕は、事件の真相を調べるために足を踏み入れてしまったんだ。
コメント
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神すぎて私が投稿するの怖くなってきたヨ...最高です