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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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鮭金組、花龍列車です!

BL要素はないですが、地雷がある方は読まないでください!

それでは、なんでもOKな方のみ、本編へお進みください!

あと、似たようなお話書いてる方、もしかしたらいるかもしれませんが、パクリではないので、そこはご理解をお願いいたします。

話がそれましたね。では、本編どーぞー!





パァァンッ

聞き慣れた音。見慣れた光景。……もう、嫌だ。

「じゃあな、二度と俺の前に現れんなよ。」

吐き捨てて、目を背けて。

「兄ッ…ちゃ゙……」

背後から聞こえた声に、体が固まった。


「嘘、だろ…?」





「シャークん……?」








「ッ!!!!」

勢いよく布団から飛び起き、目を見開く。

またこの夢を見た。またこの悪夢だ。

「はぁ…はぁ…シャークん……」

肩で息をしながら、もう数十年も前に離れ離れになった弟の名を呼ぶ。

息が苦しい。たった今みた光景が、一瞬で頭の中から消え去った。

俺が夢の中で殺したのは、シャークんだ。でも、顔がわからない。誰を殺したのか、わからない。

「シャークん…やだよ、俺…。お前を殺したくないんだ……」

目を閉じてみても、もう一度眠りにつけるわけではなく。ただただ、世界が漆黒に染まるだけだった。


気を取り直して、俺は立ち上がって身支度を整えた。

サガの幹部の証拠である服を着て、黒い色眼鏡をかける。いつも通りの身なり。

自室を出て廊下を歩き、すれ違いざまに数人と言葉を交わす。

何一つ、いつもと変わらない日常。そうして俺は、サガのボスである、白虎のもとへと向かう。


俺の双子の弟シャークんは、十年ほど前に、大きな街で名を轟かせているサガというマフィアに連れ去られた。俺は、シャークんを助け出すためにサガへの潜入捜査をはじめ、ついに幹部へ上り詰めた。サガのボスである白虎は、他でもない、弟を拐った張本人。そいつのそばで話を聞けるのは、弟探しに大いに役に立つ。

更に、俺は最終的には白虎を殺そうと思っている。幹部であれば、接近も容易い。

幹部になれて良かったと思う。


弟を連れ去った奴に頭を下げるのは、本当に最悪な気分になる。吐き気すらする。

でも、幹部である以上これは避けられないことだ。

「おはよう、皆。昨日はよく眠れたか?任務のあった者は、ご苦労だった。」

白虎が話し始める。俺はそれを、数人の幹部たちの最後尾で聞く。

白虎は、長い黒髪を、後ろで細い三つ編みにしてまとめている。目つきは冷たく、冴え冴えとしているが、どこか温かい。俺は、白虎の瞳だけは、嫌いではなかった。

白虎は、名を明かさない。まぁボスだからそれが普通なのかもしれないが、どうにも何か引っかかる。気になって仕方がない。そのわだかまりが解ければ、弟に会えるのだろうか。

目を閉じて、朝の夢を思い出す。弟を殺した。あれは、紛れもない俺だ。どうしたらいい?どうしたら助けられる?俺は、これから人殺しをしてはいけないのだろうか。

そんなことを考えながら、白虎の話に耳を傾ける。

白虎は、ひとしきり何かを話し終えると、奥の間に戻っていった。それと同時に、幹部たちも散らばっていく。

俺も集団に背を向けると、歩き出した。

「おぉい、きんとき。」

不意に背後から呼び止められ、振り返る。

白虎が立っていた。

「…何でしょう?」

「一つ、仕事を頼んでいいか?」

「はい。」

いつも、白虎からの指示は黒い桐箱で届く。それは、幹部である者たちに対しても同じだ。

だから、白虎直々の依頼は、相当珍しい。年に1回、あるかないかくらいだ。

「今回の仕事は、どのような内容で?」

「それがな、サガに、虎ノ子を売ってくれてる貿易商が数人いるだろ?その中の1人が、どうやら報酬をちょろまかしてるんだ。そいつを見つけて、始末してくれ。」

「分かりました。」

そうは答えたものの、内心少し驚いていた。怪しい人を見つけ、始末する。そんなの、日常的な仕事だ。なのにどうして、白虎直々に依頼しに来たのだろう。

心の中では首をかしげつつ、俺は軽く頭を下げてその場を立ち去ろうとした。すると、そんな俺の腕を、白虎がおもむろに掴んできた。

「…?」

振り返って立ち止まると、白虎は笑っていた。

「気をつけろよ。」

儚い笑顔だった。何故かシャークんの顔が頭に浮かんで、涙で視界が滲む。

「…はい。」

それだけ答え、俺はその場を立ち去った。


その夜。俺は、ひたすらシャークんのことを考えていた。早く会いたい。日を増すごとに、その想いは強くなっていく。

でも、中々有効な情報は手に入らない。

幹部だからと言って、簡単に情報が手に入るわけではなかった。

ただ、まぁやはり、シャークんを拐ったのは白虎で間違いなさそうだ。

数人の幹部から、話を聞いた。

白虎は、自分では行わないものの、人攫いもするらしい。反吐が出る。

俺みたいな思いをしてる奴らがたくさんいるということだろう。

白虎は、サガは、この世に存在してはいけないものだ。

消さなければならない。たくさんの人が被害にあっている。俺が止めないと。

改めて心に誓い、布団に体を投げ出した。

最近、目をつむるのが怖くて仕方がない。夢であっても、最愛の弟を手にかけるのは、耐え難いことだ。

「早く…早く、見つけないと。」




会いたいよ、シャークん。




銃声が響く。

また、殺した。




続く。

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