テラーノベル
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元々は先輩である手越さんのお気に入りのお客さんだった杉田ゆうさんは俺のお気に入りになっていった。
綺麗だけど笑うと可愛い。
いつもにこにこしてくれる彼女をみて、可愛いなと思った。もっと見ていたいと思った。
でもいつも挨拶と荷物の受け渡しで終わってしまう。もっと話してみたいけど、なにを話していいかもわからない。
疫病が流行ってから荷物受け渡しの時のサインが省略可能になった。なのでほんとはサインなどもらう必要はない。
けど、少しでも彼女の顔を見ていたかったから「サインお願いします」とサインを書いてもらっていた。
ほんの数秒伸びるだけだが、それでも嬉しかった。
配達コースをまわっていると、遠くから彼女が歩いているのが見えた。
…やっぱり綺麗だな…。
そう思っていると、彼女と目が合った。
…こっち見てる…?勘違いかな…?
と思った矢先に彼女がめちゃめちゃ笑顔で両手を振ってきた。
しかも満面の笑みで。
どうしよう!
めちゃめちゃかわいい!!
一見クールに見えるのにそのギャップがたまらなかった。
手を振り返そうかと思ったが、馴れ馴れしいと思われないか、失礼なやつかと思われないか…一瞬のうちに色々考えた。考えてマイナスイメージになるのだけは避けたくて頭を下げた。
でも冷たいやつとも思われたくなくて何度も笑顔で頭を下げた。
あの笑顔が自分に向けられたのがすごく嬉しかった。
彼女の笑顔を何度も頭のなかでリピートした。
次の日、荷物の仕分けをしていると彼女あての荷物があった。
ーやった…!
会えると思ったらすごく気分が上がった。
昨日のこと、伝えたい…!
ちょっとでも彼女との会話の時間を取りたくて、最近は少しコースの廻り方を変えて彼女の家の配達が午前中最後に廻るようにしていた。
それならもう休憩に戻るだけで他の配達の時間に影響ないからだ。
大急ぎで他の配達をまわり、いよいよ午前中ラストで彼女の家だ。
彼女の家のインターホンを押す時少し緊張する。
目やにとかついてないかな。髪の毛変じゃないかな。
帽子被っていて髪の毛なんてろくに見えないのに自分の身なりがすごく気になった。
息を吸い込み小さく吐く。
インターホンを押す。
「はーいっ」
いつもの彼女の声だ。
『宅配便でーす!』
感じよくしようとして、話し声より少し高い声でいつも返事をしてしまう。
扉が開き出てきた彼女はやっぱり綺麗だった。
昨日のことを伝えたい。可愛かったと伝えたい。
でも勇気が出ない。
気持ち悪がられたらどうしよう。
本社にクレームでも入れられて担当コース外されたらどうしよう…。
そんな事を考えているうちに彼女が受け取りサインを書き終わってしまった。
…ああ、だめだった。
言えなかった。
その時
「ねえ!」
閉まり変えたドアがあき、彼女に話しかけられた。
「お兄さんかっこいいよね♪」
『え!!』冗談か??本気か??
分からないけど、かっこいいって言われたことに舞い上がり謙遜なんて忘れてしまった。
『ありがとうございます!!』
多分顔が真っ赤だったと思う。
今がチャンスだ!!
このチャンスを逃したら絶対伝えられないと思い、昨日手を振ってくれたことが嬉しかった。とても可愛かったと伝えた。どう言ったかもよく覚えてないけど、可愛かったというのを一生懸命伝えた。
ありがとうと笑った彼女の顔がまた可愛かった。
話の流れでお互い下の名前で呼べるようになった。
すごく嬉しかった…!!
勇気を出した自分を褒めたい。
笑顔が可愛い人と思っていたが、段々と俺は彼女のことが好きなんじゃないかと思い始めた。
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