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「あー…最近暇だなぁ…」
今日は、教官だけが呼び出され、教官会議が開かれる予定だった。けれど、トップである都月が来ていないため、まだ始まらない。
「確かに最近仕事少ないわよねー…イポクリジーアの奴もちょっかいかけてこないし」
「もしかしてなんか準備してるのかなぁ…?」
「その線はあり得ますわね。だとすれば…こちらも妥当な準備を…」
暇だ暇だと教官たちがぼやいている。特に岸と彩なんかは机に突っ伏してやる気なさげにしているし、リリーやひらり、鶫、彼岸花もぽけー…っとしている。
「私らも上からの指示がなけりゃ動けないじゃん…」
「きっと都月様のことよ。何か考えているはず…」
マジカルシークレットのトップ、西園寺都月の能力は未来予知。未来予知ができる者は数少なく、とても珍しい。隊員たちは、いつも都月の未来予知に基づいた指示で動いている。
「それにしても遅いのでは?私、待ちくたびれてしまったのですけれど」
「交通事故にでも遭ったのかなぁ…?それともまだ寝てるとか」
「その線はないでしょう。大体、今何時だと思っているんですの?16時ですわよ?」
「あ、そっか」
さすがにこの時間まで寝ているとは…信じがたい。ひらりは納得し、机に突っ伏した。
「私、早く終わらせて魔法の研究をしなければなのですが…」
「私も拷問がまだ残ってるんですけど」
「私だって忙しい〜…」
「彩はこの前休暇をとっていましたわよね?それに、今は仕事ほぼないですし」
「うるさいなリリー先輩はぁ…」
彩も机に突っ伏し、ツノと尻尾をゆらゆら揺らしている。
そんな姿にリリーは呆れ、逆方向を向いた。
次の瞬間、会議室のドアが開いた。
「!」
机に突っ伏していた者はとたんにぴんと姿勢を伸ばし、ぽけー…っとしていた者たちも一気にしゃんとする。
「ごめんね遅くなって…ちょっと道が渋滞していて…」
「いえいえ〜。何時間でも待ちますよ?」
「彩…いいえ、なんでもありませんわ。けれど、少し遅すぎでは?」
「いやぁ、道が本当に渋滞していて…手短に会議を終わらせようか。…といっても、今回話すことはかなり重大だけれど」
都月のその言葉に、全員がごくりと唾を飲む。都月は会議室に飾ってあるカレンダーを見つめながら、口を開いた。
「今日の朝…視えたんだ。…イポクリジーアが攻めてくる未来が。それももっと先にね」
「!!」
都月の未来予知は常に正しい。
「今が9月3日。そして…イポクリジーアが攻めてくる日は、9月13日。金曜日だ。あともう10日しかない」
「10日…ですって!?」
急に周りがざわつく。あと10日しかない。本来ならば、あと一ヶ月以上はあったはずなのに。
「10日でできることには限界があります。それに…」
「君たちの言いたいことはわかっているよ。けれど、これは仕方のないことだ。…といっても、まだ本当かはわからないけど。99%は確実だ」
「…」
その数分後、教官会議は終了し、各教官たちは、それぞれ準備を始めた。
ひらりはこのことを全員に連絡、彼岸花は新しい結界造りを早めに。それぞれ焦りながらも、着々と準備を進めていった。