9月11日 イポクリジーア本部
トップであるbetrayal Royerは、1人静かに読書をしていた。
いよいよ明後日に迫った戦いに備え、本当はもっと忙しいはずなのだけれど…本部内はしんと静かで、人の気配がしない。
まあそれは…いや、きっと皆、気を抜いているのかもしれない。
それか、別の任務で忙しいのか。
betrayal Royerは静かに本を閉じ、窓の外を見つめた。
そう、マジカルシークレットがある方向を。
マジカルシークレット本部
蒼たちが使っていた魔法の練習場は人が大勢いて、皆明後日の戦いに備えていた。教官たちは後輩の面倒を見ながら自分の練習もし、新人たちも並みに魔法が使えるようになっていた。
「少し休憩でもする?蒼くん。ずっとぶっ通しだったし…」
「いえ、大丈夫です」
「でも、もう3時間ぐらいぶっ続けで…休憩はとったほうがいいと思うけど」
「…わかりました…」
「凪野くん。心配なこともあるかもだけど、ちゃんと休まないとダメだよ」
「うん、水梨…」
蒼は休憩に入り、水を飲む。9月とはいえまだ暑い…それに、人が密集しているためなおさら。
けれど皆、真剣で、この組織を守るために、自分の命、仲間の命を守るため、イポクリジーアを壊滅させるため…休むことを惜しんでいた。
「飛んで火に入る夏の虫、ね」
「え?」
「私たちは、イポクリジーアをその言葉の通りにしてやろうかなと考えているわけよ」
「なるほど…?」
「今日の夜から私のSPは見張りを開始しますしね」
「そうなんですか?」
「ええ。まぁ、能力を使えないものもいますけれど…きちんと訓練を叩き込んでおりますので。心配無用ですわ」
「すごいですね」
「まぁ、私とお兄様が見込んだ者たちですしね」
ふふ、とリリーはそう言い残し去っていく。
そして、9月13日。18:00。マジカルシークレット本部前。
日は暮れ、あたりは真っ暗。隊員たちはそれぞれの位置についていた。
次回、最終章『抗争』。
開始。
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