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R15
緑水
🦈「早く着きすぎた…」
現在の時刻は17時半前。
約束の時間まであと30分。
辺りは、だんだんと人の喧騒で満ちてゆく。
🦈「楽しみやなぁ…/」
夏の一大イベントである花火大会。
今日は大好きな彼と夏のひとときを過ごす。
変になってないかな、と浴衣の帯を確認する。
回りたい屋台を考えたり、すっちーの浴衣姿を妄想しているうちに、約束の時間は近づいてくる。
🍵「こさめちゃん、」
🦈「あ、/」
声のした方に目を向けると、浴衣姿のすっちーが小走りでこちらへ来ていた。
🍵「ごめんね、待った?」
🦈「ううん!全然待ってへんよ〜!」
本当は30分以上待ってたけど軽く嘘をつき、こさめもすっちーの方に歩き出す。
🍵「ふふっ、ありがと笑」
この嘘はやっぱり見破られたか。
すっちーがお見通し、とでも言いたげな顔をする。
🍵「こさめちゃん、浴衣似合ってるね」
🦈「あ、…ありがと/」
素直に褒められて、顔が赤くなり始めているのが分かる。
こさが先に褒めたかったんに…。
🦈「すっちーもかっこいいね…/」
🍵「ありがと」
にこ、と微笑む浴衣姿は漫画やアニメに出てきそうな好青年。
綺麗で儚くて、どこか妖艶で。
背が高くて、顔もちっちゃいから、どこかのモデルみたいだ。
🍵「今日静かだね笑」
やはりこさめの心を見透かしているのか、どこか嬉しそうに問い掛けてくる。
🦈「そんなことあらへんし!!今日は屋台全制覇するんだからねっ!」
🍵「それは食べ過ぎじゃない?笑」
🦈「ほら、行こっ!」
すっちーの浴衣の袖をグイッとひっぱり、歩き出す。
🍵「どこから回る?」
🦈「ん〜…焼きそば!」
🍵「俺も同じこと考えてた〜笑」
🦈「ん゙〜〜っ!」
🍵「頭キーンってした?笑」
🦈「な゙ったぁ゙〜!!」
🍵「あらあら笑」
こさめちゃんの手には青色のシロップがかかったかき氷。
俺の手には先程購入したラムネ瓶。
ガラスの瓶がひんやりしてて暑すぎる今日には、気持ち良い。
🦈「すっちー見て、」
🍵「ん〜?、、わっ、」
こさめちゃんの方を見ると、舌を突き出してコチラに見せてきた。
🍵「青くなってる笑」
🦈「ほんま!?」
🍵「うん…」
🦈「んぐっ、…!?」
その青い舌に俺の舌を絡めつける。
🍵「んっ…」
🦈「んぁ…/、、ふッ…、/」
トントン、と背中を軽く叩かれ口を離すと、ふたりの混ざった唾液がイヤらしく糸を引いていく。
🦈「ん、はっ…/」
浴衣が少しはだけて、肩で息をしているこさめちゃんが色っぽい。
🦈「何するん!急に!!」
🍵「…ごめん笑」
🦈「誰かに見られたらどうするんよ…!」
🍵「大丈夫だよ、ここ人気ないし」
🦈「んもぉ…!」
こさめちゃんが怒ったように眉間に皺を寄せる。
まあ、全然怖くはないけどね。
🍵「ねぇ、」
俺も先程のこさめちゃんを真似て、舌を突き出す。
🍵「俺の舌も青くなった?」
🦈「なってへんわ!!」
怒りからなのか、恥ずかしさからなのか分からないが、顔を真っ赤にしながら勢いよく否定してくる。
🍵「ざんね〜ん」
🦈「もう、すっちーたらさぁ、」
🍵「あ、」
俺宛の文句は、ドン!と言う爆発音に掻き消された。
🍵「花火、始まったね」
🦈「うん!…きれい、やね…」
少しの間、お互い無言で花火を鑑賞していた。
ふと、こさめちゃんの方を見ると、澄んだ瞳が花火を真剣に捕らえていた。
こさめちゃんの透明感のある瞳は、出会った時から、その瞳に吸い込まれた俺を一瞬で虜にした。
カランっ
花火の音に紛れて、手元で控えめな音が聞こえた。
ラムネ瓶だ。
🍵「ぁ、」
手にある瓶を何となく眺めていると、あることに気付く。
似てる。
こさめちゃんの瞳が、ラムネ瓶の中のビー玉に似てる。
綺麗で、吸い込まれそうで。
🦈「すっちー、」
俺が横を向くと、不意に、視界が塞がれた。
唇に何かが当たり、次の瞬間には視界が開けて、大きなこさめちゃんの瞳。
🦈「なんか、ちゅーしたくなっちゃった…/」
こさめちゃんが控えめに笑いながら、顔を赤くする。
でも、俺の方が赤いだろう。
きっと今の俺は、熟れた果実みたいに、耳まで真っ赤だ。
🦈「あ、もう花火終わっちゃうよ!」
君のラムネ瓶の中のビー玉みたいな、
俺にとって特別な瞳に、花火が反射した。