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「いらっしゃいませー。」
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少し震えた声で絞り出すようにと
いつも通りの言葉を投げたのなら
ぱちりっ、と目が合ったのは先程の団体様。
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紫、なのか?銀髪?ライトでよくわからないけど、取り敢えず真ん中だけない眉毛の男の子と
長身のよくわかんないヘアスタイル、龍の刺青をしている男の子と
金髪でピアスを開けている男の子に会釈された。
人は見た目ではないんだと思った。
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──────── ただの中学生ならまだしも安心出来たのだ。
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「あれ、なんだっけ、あの服のこと。」
「あーー……………、特攻服?でしたっけ。」
「つまりは、齋藤くん、アンサー。」
「不良でしょうよ、あーー帰りてぇ、来んなよなー。」
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店員が来るな、発言に不快に思われるかもしれないが
正直な話をするとお客様とか来ないで欲しい、仕事増えるだけ。
態度の悪いお客さんに当たった時はストレス以外の何にでもない、お礼も言えないのか、この禿!!!という気持ちで生きている。
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へらへらと笑いながら、バイト後輩の齋藤くんと話していたのなら
レジ停止中のものを置いてあるのにも関わらずに、ドンッとカゴを置く大人の客。
お前は文字も見えないのか、このサラリーマンめ。
そんな言葉を心に留めておきながらも
幾分か高めの声で、慣れたようにと笑みをうかべながら。
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「いらっしゃいませ、お預かり致します。
袋のご利用はどうなさいますか?」
「………………………。」
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てめぇの耳と目は、何のためについてんだよ、おいこのサラリーマン。
絶対この人は出世できないタイプだ。
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袋に入れてお会計を済ませたあと
サラリーマンは袋を見るなり、私を見ては、そこでやっと声を出す。
「袋、いらないんだけど。いるかどうか聞いてこなかったよな?」
いや、聞きましたよ、それはそれは目がバッチリ合った時にでも!!!!!
と叫びたがったが、そんなことしてら私の首が飛ぶため
堪えた。
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堪えるしか無かった。
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「…………………いや、おっさん答えてなかったろ。」
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少しうるさい店内、サラリーマンにそう告げる金髪の男の子に
私は目を奪われた。
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