ミィコはしばらくベッドの中で身動きできずにいた。
胸の奥が締めつけられるように苦しくて、呼吸さえ浅くなる。まぶたを開けると夢の残滓が現実に溶け込んでいく気がして怖い。
かつて味わった痛みや、あのときの沈黙、居場所を失った感覚が、肌にまとわりついて離れない。
それはまるで、朝の光を拒むような、重く冷たい霧だった。
彼女は震える指でシーツを握りしめ、何度も深呼吸を繰り返すが、身体は重く、まるで動けない。
その時、ふと脳裏に浮かんだのは、セバスが描いたひまわりの絵だった。
鮮やかな黄色が目の前に広がり、まるで自分に語りかけるように感じられる。
――負けないで。
何度も目にしたその絵は、今、彼女にとって唯一の光だった。
セバスの温かな手が込められたそのひまわりは、ただの絵ではなかった。
それは、彼の思いが込められた、彼女を支える力そのものだった。
その優しさが、画面越しでもしっかりと伝わってきて、胸の奥でじわじわと温かさが広がり、心の奥底から力が湧いてくるのを感じた。
ゆっくりと身を起こし、枕元に置かれたスマートフォンを手に取る。
震える指でロックを解除し、そこに映し出された「ひまわり」の絵を見つめる。
その鮮やかな色が目に飛び込んできた瞬間、ミィコはふっと微笑みがこぼれた。
それは小さな微笑みだったけれど、彼女にとっては確かな希望の証だった。
その瞬間、
きぃちゃんの優しい声が頭の中で響いた。
「大好きだよ」
タクタクさんの低く穏やかな声が背中を押してくれる。
「頑張れよ」
ヨミ姐の力強い言葉が、胸に熱く響く。
「負けるな、あんたならやれる」
それぞれの言葉が、彼女の心に深く刻まれ、バラバラになりかけていた心を少しずつ繋いでいく。
”誰かがいる。私は一人じゃない。”
その想いが、心の底から湧き上がってきた。涙が滲み、喉が詰まる。
過去の傷が疼くけれど、もうそれを恐れることはない。
彼女はもう一度、決意を固める。
目を閉じ、深い呼吸をひとつ。
心が少しずつ落ち着くのを感じる。
そして、彼女は静かに呟いた。
「もう、逃げない」
その声は震えながらも、確かに彼女の心から発せられたものだった。
決意は、まだ小さな種かもしれない。
でもそれは、確かに心の中で根を張り、少しずつ成長し始めていた。
震える膝、残る涙、それらを全て抱えて進んでいく覚悟が彼女の中に湧き上がる。
少しずつ、少しずつでいい。
それでも、彼女はもう逃げない。
ひまわりのように、ただまっすぐ、光に向かって。
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