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8話一俺がそうしたいから一
(嘔吐、病み表現注意!)
チチチ・・・
「ん……」
-あさ…
カーテンから漏れた光が部屋を淡く包み込み
柊は気だるそうにベッドから上半身を起こすと
サイドテーブルに置いた眼鏡をかけ、ついでにスマホを手に取り時間を確認する
-6時・・・」
一支度・・・ しないと・・・
柊はぼんやりとした頭で何時もの様にそう考え
何時もの様に何気なくベッドから降りようとするが――
「あ…」
全身に力がまったく入らず
柊は再びストン・・・とベッドの上に力無く腰を下ろし
茫然とした表情で力の入らない両足を見つめる・・・
-今日はもう・・・・・・ 休もうかな…
柊はボーっとしたまま項垂れてたかと思うと
そのままポテっとベッドに横になり、 何も無い壁を無気力な眼差しで見つめる…
…緒方に会いたくない・・・
もう何もしてこないだろう・・・
と、次から次へと湧き上がってくる緒方に対する恐怖心や嫌悪感を何とか抑え込み、
散々昨日の自分に言い聞かせて翌日に備えはしてみたものの――
一怖い・・・
やはり緒方が昨日自分に対してしてきた事への恐怖心や嫌悪感は拭いきれず・・・
柊はベッドの上で自分の身体を抱きしめながら小さく丸まる・・・
….大体・・・昨日自分をレイプしたきたヤツなんかと
一体どんな顔して会えばいいっていうんだ・・・
自分のナカを抉る緒方の凶器や、 自分の身体を弄る緒方の手の感触・・・
常に耳元で聞こえていた緒方の荒い息遣いや
自分を犯している間中、 ずっと自分に向けて見せてた
獰猛で嘲笑うかの様な緒方の表情・・・
それらを今でも鮮明に思いだせてしまい
柊は震えが湧き上がる身体を更に強い力で抱きしめ、 瞳を閉じる・・・
一俺が今日休んだところで――きっと緒方は何とも思わない・・・
だったら休もう。
柊がそう決めたその時…
ブブブブブブブブブブ…・・
と柊が手に持っていたスマホが突然振動し始め
柊は横になったまま慌ててスマホの画面を見る
すると・・・
「…ッ」
そこには今、柊が最も会いたくない人物からの
何やら添付されたメールが届いており――
–なんで…っ、このタイミングでコイツからメールが・・・
柊は嫌予感を覚えつつ、恐る恐るそのメールを開く…
するとそこには
「今日、ちゃんと学校に来るように。」
とだけ打たれた文字の下に 股を開き、孔から白濁液を溢れさせ横たわる自分の画像が――
う”っ、」
「ッ、
柊はベッドからバッと飛び起きると
口を押えながらバタバタとトイレに向かって走り出し
急いでトイレの中に駆け込むと――
「お”ぇ…ツ、ゲホッ、 ゲホッ・・・ゲェェ…」
便器に顔を突っ込み、 嘔吐しだす・・・
「ヴぇ…ッ、うっぷえつ、ウェェ・・・ッ、」
しかし昨日から碌に食事を摂っていなかった柊の胃の中は空っぽで
出てくるのは胃液ばかり・・・
しかし柊は目に涙を浮かべながら嘔吐を繰り返す・・・
–なんで…なんでこんな…っ、
「う”ぇ…ツ、ゲホッ、 ガハッ、、 ハア・・・ハア・・・オェェ…」
柊は自分にあんな画像を送りつけてきた緒方の意図が読めずに怯え
ただひたすら泣きながらトイレで吐き続けた・・
出勤時間になり
柊は俯き、出来るだけ顔を誰かに見られないようにしながら
トボトボと職員用玄関へ向かって歩く・・・
そこへ――
「柊先生っ! おっはよ~ございまぁ~すっ!」
明るく、良く通る声で柊を呼びながら
野崎が後ろから駆け寄ってきてトンッ! 柊の肩を軽く叩く
「柊先生! 今日はどうしたんですか? 一段と姿勢が悪いじゃないですか!
もうちょっと前をよく見て――」
野崎が柊の顔を覗き込む
すると野崎の表情は一変
急に真顔になり、 柊の手を掴むと急いで職員用玄関へと駆けこむ
「ちょ・・・ 野崎先生・・・っ! 靴・・・
困惑する柊を他所に
靴を変えるのも忘れて、 近くの水飲み場まで柊の手を引き強引に連れて行くと
野崎は自分のハンカチを水に浸し、 柊の眼鏡をヒョイっと取ると
濡れたハンカチを柊の両目にペチッと当てる
「冷たっ!」
「――それで暫く両目を冷やして。 酷い有り様ですよ?目・・・」
「え…」
「真っ赤。 少し腫れてるし――どうしたんですか? 柊先生・・・その目・・・
昨日から少し様子がおかしかったみたいですけど――それと何か関係が・・・?」
「そっ… れは――」
野崎からの質問に柊は答えられず
ハンカチを両目に当てたまま俯いて黙ってしまう
そこへ——
「柊先生、野崎先生。 おはようございます。」
「緒方先生…おはようございます。」
「ッ、う…」
柊は緒方の声に肩をビクリと震わせるとその場に俯いたまま固まる
「どうしたんですか? 2人とも・・・こんなところで――」
「それが――柊先生の目が腫れてて…」
「柊先生の…?」
柊は目の見えない状況で、緒方が自分の事をマジマジと見つめてくる視線を感じ
その身を益々硬くする・・・
「それより――野崎先生… 貴方今日、 生活指導の日では…?」
「あ…やっば…っ、緒方先生! コレ柊先生の眼鏡、 持ってて下さい!
それじゃ俺はこれで――」
野崎は柊の眼鏡を緒方に渡すと
2人を残して慌ただしくその場を去って行ってしまった…
「..
柊はハンカチを両目に当てたまま無言で固まり動けない・・・
そこへ緒方が静かに口を開く
「今日も一俺の気が済むまで付き合ってもらいますよ? 柊先生…」
「なっ、」
その言葉に柊は絶句し、 思わず目に当ててた野崎のハンカチを握りしめて 緒方の方を見つめる
「――なるほど・・・これは赤いw」
緒方が柊の目を見て思わず苦笑を漏らす..
「どうして…、」
「どうして――とは?」
「もう・・・俺を黙らせるだけの映像とかとったでしょ・・・? 今朝だって…
なのになんで……っ!」
「そんなの――決まってるじゃないですか…」
緒方の目が据わり、 その手が柊の頬に触れる・・・
「ッ、」
「俺が――そうしたいから・・・ですよ。 他に理由なんて無い。」
「そ…んな…っ!」
柊は狼狽え、再び目に涙を溜め始める・・・
「貴方に一一始めっから選択肢なんて無いんですよ… 柊先生…
わかったら――」
緒方はグイッと柊を引き寄せ、その耳元で囁く
「今日も退勤時間になったら逃げずに俺のところまで来るように…
ハイ、 眼鏡。」
緒方はそう言いながら柊に眼鏡を手渡すと
その場を何事も無かったかのように去って行き
柊は野崎のハンカチで目元を隠しながら、 その場で静かに泣き続けた・・・