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2,011
第1話(完結)「快楽に溺れた男・神代 伶央(かみしろ れお)」**
魂審問庁の法廷に、重い霧が立ちこめていた。 その中心に、ひとりの男が立っている。
黒いコート。 整った顔立ち。 しかし、その瞳には冷たい空洞があった。
神代 伶央(かみしろ れお)・32歳。 生前、複数の事件に関与し、 “他者の苦しみを見ることで興奮する”異常な性質を持っていた。
裁判長が静かに告げる。
「被告、神代伶央。前へ」
男はゆっくりと歩み出る。 その足取りには迷いがない。 むしろ、楽しんでいるようにさえ見えた。
検事が立ち上がる。
「被告は、生前、複数の人間に対して重大な危害を加え、 その苦しむ姿を見て快感を得ていた記録がある」
神代は薄く笑った。
「快感? そんな大げさなものじゃない。 ただ……“人間の反応”を見るのが好きだっただけだよ」
裁判長の目が鋭く光る。
「あなたの行為は、魂を深く汚した。 他者の痛みを娯楽に変えた。 その結果、多くの魂が傷ついた」
神代は肩をすくめた。
「弱いから傷つくんだろ。 俺はただ、世界を観察していただけだ」
検事が手を上げる。
「証拠映像を提示する」
光が広がり、 被害者たちの“恐怖の瞬間”ではなく、 “その後の家族の悲しみ” “社会に残った傷跡” “奪われた未来” だけが映し出される。
神代の表情が、わずかに揺れた。
裁判長が問う。
「神代伶央。 あなたは、自分の行為が“人間の反応を見る遊び”で済むと思っているのか」
男は静かに笑った。
「思っているよ。 俺は……ただの観察者だ」
検事は冷たく言い放つ。
「違う。 あなたは“破壊者”だ。 そして――その魂は、救済の余地がないほど歪んでいる」
裁判長が槌を高く掲げる。
「判決を言い渡す。
神代伶央――極刑、 魂は“永劫の隔離領域”へ送還する。」
神代の笑みが消えた。
「……隔離領域? なんだそれは」
裁判長は淡々と告げる。
「あなたのように、 “他者の苦しみを快楽に変える魂”は、 輪廻にも天にも地獄にも置けない。
ゆえに―― 永遠に、誰にも触れられず、 誰も傷つけられず、 何も感じられない虚無の中で存在し続ける。」
神代の顔が初めて歪んだ。
「……感情が……消える……? それは……」
「あなたにとって最大の罰だろう」
足元に黒い裂け目が開き、 神代の身体がゆっくりと沈んでいく。
「やめろ……! 俺は……“反応”が欲しいんだ……! 何もない世界なんて――!」
叫びは虚無に吸い込まれた。
裁判長が槌を置く。
「――神代伶央の裁判、これにて終結」
法廷には、静寂だけが残った。
コメント
4件
ってか サイコパスのやつだけ人気(?)なんだが
面白いなこれ・・・(誰目線?w フォローしてやる