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『反射』、幼い頃、狩場でジャッカロープに殺されそうになった時、スリーマンセルが抱き合って死を覚悟したとき、神様の啓示によって教え諭されたスキルである。
それぞれ大きく成長し、ペトラもギレスラも抱き上げる事が出来なくなってからはすっかり忘れていた技であったが、確かにあのスキルならばこの窮地から何とか脱する事が出来るかもしれない。
そう考えたレイブは実に十年ぶりにスキル発動を宣言するのであった。
「『反射』! …………ん? 『反射』! 『反射』っ! ……………………ぐすっ!」
堂々と宣言したレイブは涙ぐんでいた。
発音が違ったのか、はたまたこの十年間の間に経験した声変わりのせいか、それとも自分達の中に居た筈の神様がどこかへ消えてしまったのか……
リフレクションの声に答えは皆無だったのである。
『グハッ! も、もう、駄目……』
『ガッ、無念、さらばだ』
「せ、背骨が、お、折れる…… か、神様ぁ~」
『『反射』』
パーン! バラバラバラバラ……
スリーマンセルが死を明確に覚悟した瞬間だった。
体に圧し掛かっていた大量のモンスターによる圧迫が瞬時に消え去ったのである。
代わりに雨の様に降りかかったのは、細切れになったモンスター達の血と肉片であった。
「『『え?』』」
驚愕の表情で顔を上げたレイブ達の目には、背の高い青年が血と肉の雨の中で大仰に両手を広げている姿が映った。
目を凝らしてみれば、降り注ぐ元モンスターだった物は、青年の体に触れる前に明後日の方向へと跳ね飛ばされている。
青年は青白く整った顔にニヒルな笑みを浮かべて低い声で言う。
『くふふふ、くはははは、くぅーはっはっはっはあー! 我、復活! もとい、我、再降臨っ! くぅーはっはっはっ!』
「え? え、え? か、神様? なの?」
『当たり前だろうレイブ? お前達の神様、我こそが魔神アスタロト様だ! くはははは』
『ブヒィ、キュゥ~』パタリ
『グフゥ、キュゥ~』ドタリ
『む! いかんっ! 出て来いそこの雌ライオン!』
魔神アスタロトと名乗った青年、自称神様が片手を上げると、その手の先に渦巻いていた濃密なモンスター由来の魔力が、掌の中に吸い込まれるように消え失せて、広がった視界の先で体を膨らませて蹲っていた雌獅子キャス・パリーグと、その隣で鋼体術によって真紅の金属質に姿を変えたズィナミ・ヴァーズの仁王立ちした姿が現れた。
ズィナミは油断なくこちらを、正確にはアスタロトを睨みながら口を開く。
「何者なの? その子達はアタシの甥と姪なの、返して貰うわよ」