フライギ 🇫🇷×🇬🇧
地雷の方はここで飛ばしてください
「薔薇と棘」
僕は、彼が教室の隅で本を読んでいるのを見つけると、迷わず歩み寄った。
「また一人でいるのかい?」
イギリス——彼は静かに顔を上げ、僕を見た。
「……私は一人の方が落ち着くんです」
「それでも、僕は君を放っておけない」
僕は椅子を引き、彼の隣に座る。彼の周りには誰もいない。けれど、それは彼が望んでそうしているわけじゃないことを、僕は知っている。
「……また、ですか」
「また、だよ」
彼は小さく溜息をつくが、追い払おうとはしない。
僕は彼に触れたい衝動を抑え、本のページを覗き込んだ。彼が読んでいたのは、古い詩集だった。
「君らしいね」
「どういう意味です?」
「孤独な詩人たちの言葉に慰めを求めるなんて」
彼は小さく笑った。滅多に見せないその表情が、僕の胸を締めつける。
「私には、貴方のように人に囲まれる才能がないので」
「君を囲もうとしない連中が愚かなだけさ」
僕は手を伸ばし、彼の頬に触れそうになって、思いとどまる。
「……フランスは、どうして私なんですか?」
彼の声は少し震えていた。
僕は迷わず答える。
「君だからだよ」
僕は昔から彼に執着していた。彼が孤立していたからじゃない。彼の美しさも、賢さも、優しさも、すべてが僕の心を掴んで離さなかった。
「君を見ていると苦しくなるんだ、イギリス」
「苦しい?」
「君が僕以外のものを見ていると、どうしようもなく惨めになる」
彼は驚いたように目を見開いた。
「……私は、フランスが好きですよ」
その言葉はあまりに淡々としていた。まるで日常の挨拶のように。
「それじゃ足りない」
僕は彼の手を取った。
「僕だけを見て、僕だけを求めてほしい」
彼の指がかすかに震える。
「……私は、フランスに求められるほどの人間じゃ」
「違う」
僕はそのまま彼の手を引き、額を合わせた。
「君がどんなに自分を孤独に閉じ込めようとしても、僕は絶対に離れない」
彼の目が揺れる。
やがて、静かに閉じられた唇から、掠れるような声が零れた。
「……ずるいですね」
僕は笑う。
「君を諦めるくらいなら、ずるい男で構わないよ」
短くてすみません
これからカンヒュの小説書いていきます!
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