一方、その頃ジョセフは団長の部屋にいた。ソファに座って大好きなコーラを出されると、
ジョセフは満足げに言った。「コーラとは、気が利きますなぁ。」
団長は微笑みながら本題に入った
「ええ、ところで今回の件なんですが、事故ということにしていただけませんか?」
ジョセフは驚いて問い返した。「何?」
団長は困った表情で続けた。「はい、公演も明後日に控えてますし、私どものような小さい団体で事件が起こったとなると、もう閉業するしかないんですよ。」
ジョセフは眉をひそめた。「しかし...あのロープの切れ方は故意にやったとしか思えない。」
団長は首を振りながら言い訳をした。「いいえ、そのロープは劣化して亀裂が入っていたため、
簡単に切れてしまったのです。」
ジョセフは心の中で(無理あるだろ)と思いながらも、「いやぁそれは...」と言いかけたところで、
団長は封筒を取り出して差し出した。「どうかこれで...」
ジョセフは封筒を受け取り、中を覗くと、大好きなドーナツとコーラ1年分の
プラチナチケットが入っていた。「こ、これは!?」
団長はにっこりと微笑んで言った。「1年間食べ放題、飲み放題のプラチナチケットでございます。」
ジョセフにとって、これはただのプラチナチケットではなかった。
このチケットは、アイドルのイベントに招待されるという特別なチケットだった。
しかし、これは一般では入手困難な幻のチケットであり、
わずかに巡り会える限られた幸運の持ち主だけが手に入れられるものだった。
ジョセフは尋ねた。「どうしてこれを?」
団長は得意げに答えた。「私はこの業界では顔がきくほうでしてね」
ジョセフはチケットを胸ポケットにしまい、考え込むように言った。「まぁ考えておこうか。」
その後、ジョセフは団長室を後にしながら、心の中で葛藤していた。
警察官としての職務を全うし、真実を明らかにするべきか、それとも甘い誘惑に負けるべきか。
法律を守り市民を守ることが彼の使命だが、自分自身の欲望がそれを揺るがしていた。
警察官としての責任感と、個人的な誘惑との間で彼の心は激しく揺れ動いていた。
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