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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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校舎内はやけに静かだった。

体育館の方から運動部の声が聞こえるだけだった。

16時前、まだ居るだろうか。


なぜか足音をたてないように近づいた。ゆっくり扉から中を覗くと、ひとり静かにキャンバスに向かって鉛筆を動かしていた。


「、、あ」

「わっ、……何してんの」

何を言おうか迷いながら言葉を発したら、こうなった。

「、、あ、まだ居るかなって」

「絵ならまだ全然完成してないよ」

「今日は何描いてるの」

「、、そこから見える?」

宇治は私の方を向いて言った。

教室の中に入って、荷物を置いた。

「風景画?」

「うん、夏の風景画」

「すごい、綺麗だね」

宇治は小さい声でありがとうと言った。


「あのさ、お祭りの日助けてくれてありがとう」

私がそう言うと、宇治はこっちを向いて軽く笑った。

「何、急だね」

「、、それを言いに来たから」

「わさわざ?変な人」

変、なんて言われたことないんだけど。

「相原とご飯行ったんじゃなかったの」

「うん、けど玲花帰らないといけなくなって」

「そっか」

少しだけ沈黙が続いた。

「あ、部活、だいたい月水金と土曜にやってる。結構変更になるときもあるけど」

「、、そうなんだ、運動部大変そう」

「美術部は何曜とか決めてる?」

「行きたい日に行ってる。来るの俺だけだし」

「そっか」


宇治は描く手を止めて口を開いた。

「祭りのあと、佐倉からなんか連絡あった?」

「え?ああ、うん」

「、、注意不足でごめんとか、言われた?」

人多くて危なかったのにごめんね、と佐倉くんに言われた。

「、そんな感じのことは」

「そっか、だよね」


「ごめん、佐倉にきつい言い方して空気悪くした」

「いや、私は全然」

「、、佐倉も優しいから、怒るわけないだろって」

佐倉くんに謝ったのだろう。

「ていうか、あんな、、」

宇治は言葉を詰まらせた。

「何?」

「、、あんな偉そうなこと言ったの、ごめん」

「大丈夫だって。気にしてないよ」

私がそう言うと、宇治はそう、と言ってまた描く手を進めた。

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