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セラフ・ダズルガーデンは四季凪アキラに絶対に勝てる術がある。その術を四季凪アキラは何度も受けてきたが、未だにそれを回避したことがないのだ。
「凪ちゃん」
ああほら、またそうやって勝てる術を出そうとする。セラフのそれに四季凪は勝てない。必殺技のようなそれを聞いてしまえば、何を言われようとも四季凪は引けない。というよりもこの技は四季凪以外にも通用するはずだ。
「おねがい」
うぐ、と声が出た。186cmの自分よりも大きな男が目をきゅるりと潤ませてこちらを覗いてそう口にする。実際には漫画のように泣きそうな表情ではないのだけれど、どうにも私には潤ませているように見えてしまう。
弱々しくシャツの裾を指先で引っ張って引き止められた。逃げられないということだ。ため息をついてセラフを見つめる。昔はこんな術使ったことなかっただろうに、全く誰から教わったのか名前を伺いたいところだ。
「……いいよ」
「ほんと?」
仕方なく承諾すれば満面な笑みが浮かぶ。甘やかしすぎたのかもしれないが、今更何とかしようにもできやしない。目の前の男は身体能力も高く勉学にも励めるタイプなのだから、四季凪がどう言おうがのらりくらりと交わされる未来しか見えないので。四季凪はため息をついて、目の前の幸せそうな顔をする男の話を聞くことにした。
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いいなぁ、私も愛されたい。
いまあいつらは何してんのかな、仕事頑張ってんのかな。
「会いてぇなぁ」
誰にだっていい。私の事を見てくれる人に会いたい。そう呟いたら、目の前にいてくれたりして。だけど、そんな淡い願いを叶えてくれるキューピットはここにはいない。どれだけ願っても、きっと私が望む人は現れてくれない。ガヤガヤと飲み会をしてるサラリーマン達の声がいやに響く。「誰に会いたいの」柔らかい声が上から聞こえた。周りは未だ騒がしいのに、その声は不思議と惹かれるような声色で、ずっと聴いていたいような、そんな声だった。
伏せていた顔をゆっくりと上げると、見慣れた金色のふわふわとした髪が目に入った。
「かなと」
呂律がまわらず、ふにゃふにゃとした声で名前を呼んだ。酔いしれた頭で考える。どうしてここにいるのだろう、と。
どうやらそれは口に出ていたらしい。海のような蒼い目が細まって、口元が緩んだように見えた。手が伸びて、おそらく赤く染まっているであろう頬を撫でられる。外に居たからかいつもよりも冷えた指先は熱い体には気持ちのいい体温だった。
「あんた呑んでる人が親切な人で良かったねぇ」
ポケットから出されたスマートフォンのメッセージトーク画面を見せられた。相手の名前は「アキラ」と書かれている。送られたメッセージの上には少し前にはしょうもない会話が繰り広げられていた。
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「アキラ、すげー甘い匂いする」
心臓がバクバクと早く鼓動する。両手を地面に押し付けられて身動きが取れない。抵抗しようと暴れても自分よりも体格のでかい男にはあまり効果はなくて睨むように顔を見つめたら、金色のダイヤモンドのような瞳がギラギラと光っていた。ぺろりと舌なめずりされる。そんな色っぽい仕草を見てしまって、じんと身体が火照る。いつもは明るくて優しくて、歌が好きな男って印象しかないのに。すんと首筋に顔を埋められて匂いを嗅がれた。何してんだと声を張っても、息を荒くするだけで聞く耳を持ってはくれない。首筋を伝う汗を舐めとられて、そのまま柔く噛まれた時は流石に体が強ばった。このままじゃ食べられちゃうのに、逃げないといけないのに、体の力が抜けてしまって逃げられる気がしない。わざとらしくリップ音をひとつ響かせてから雲雀は顔をあげて四季凪を見つめる。
「なあ、食っていい?」
熱の篭った目がじっとこちらを見つめてくる。今すぐでも食べてしまいたいと喉奥が唸っているにも関わらず、律儀に雲雀は問いかけてくる。なんだかそれが大事にされているように感じてしまって、頬が痛いくらいに熱くなった。狼の本能もあるんだろうけど、それ以上に私のことが好きで好きでたまらないって顔をするの、正直すごく嬉しいからやめてほしい。柔らかい頬を両手で掴んで、熱い息を吐く唇に口付ける。一瞬驚いたような表情が見れたけど、それもすぐにさっきの熱の篭った表情へと戻ってしまった。