20XX年、それは『灯彩健全法』が制定された年。
灯彩町で制定された健全法だから『灯彩健全法』。
内容は、『非行少年・少女を何処かに収容する』というもの。
これは『灯彩健全法』に壊された少女の話。
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「ユメはまだ子供なんだから駄目よ!!!」
「子供が夜に出歩くのは危ないんだぞ!!!」
「あの子もまだ子供なんだし、離婚とか言うのは
辞めて!!!子供に悪影響って知らないの!?」
そんな言葉が脳裏に焼き付いて、リピートする。
私が子供じゃ無かったら…と、夜のコンビニの前で呟く。
折角だし何か買おうか……というところで
ハッとした。
『灯彩健全法』とかで、
店員に見つかったら通報されちゃうんだっけ?
「気づかなかったらアウトだったなー……」
とへたりこむと、灯彩健全法違反者用の
特別なチャイムが鳴った。
リントン、リントン、リントン……
それは店の中から響いていた。パトカーも来た。
「もしかしたら私も連れていかれるかも…」
と思い、口を塞いて隠れた。
……良かった。パトカー通り過ぎた。
捕まらないようにしないとなー……と考えていると時計は午前一時を回っていた。
……あ、そろそろ家帰らなきゃ…
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収容されて1ヵ月目の由芽は
そんなことを考えていた。
そう、自分が見つからなかった世界線を、ずっと。
そして由芽はこう言った。
「おやすみなさい。
はぁ……明日はなにをしようかな…」
次の日は由芽の刑の執行日。
当然、由芽に”明日”なんてない。
『それでは、番号「8874」の執行を
開始します。』