ツキ
「これ私にくれるの、?」
そういう彼女は、嬉しそうだったが少し困惑していた。
「嬉しいんだけど、私彼氏が居てさ…他の人から貰っちゃ駄目だって言われてるから、ごめんね。」
申し訳無さそうにチョコを返してくる彼女。
彼氏さんはきっと束縛が激しい人なんだろう。
受け取ってもらえなかったのは残念だけど、まぁ、仕方がない。
彼女が要らないなら、他の人に渡そう。
そうだな…彼女なら、喜んで受け取る気がする。
彼女に渡そうか。
ツキの彼氏
「要らない。」
そう一言言って彼は去っていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ、!」
そういうと、立ち止まる彼。
この私からのチョコは要らないっていうの?
ありえないんだけどw
しかし、彼は振り返りもせず
「俺、彼女居るし。彼女のチョコしか要らない。」
は???
そんなの聞いてないんだけど?
いつできたの?どんな人なの??私より可愛いの???
そんな疑問が次々と頭の中に浮かぶ。
怒りと憎しみでどうにかなってしまいそうだ。
でも、私はいい女だから、こんなところで怒りに任せて怒鳴ってしまっては、今までの努力が水の泡になる。
だから、今は我慢だ。そう、我慢だ。我慢…
「そうなんだ〜!じゃあ、友チョコとしてなら受け取っt」
「無理。」
そう言って、今度こそ立ち去る彼。
はぁ〜???
まじでこいつなんなの?
この!私が!!チョコをあげてやるって言ってるのに!!!
もういい、萎えた!後で自分で食べるし!!
結城の場合
「ありがとう!後で美味しく食べるな!!」
眩しい笑顔で答える彼。
よかった…受け取ってもらえた、!
「それじゃ、次移動教室だから!!」
そう言って彼は校舎に消えていった。
郁人の場合
「俺にくれるのか?」
豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔をする彼。
「もちろん!郁人以外にあげる奴なんかいないよ!!」
「ありがとう」
そう言って、魔性の微笑みを僕に向ける彼女。
うん、世界一かわいい。この笑顔は絶対僕だけのものだ。
「そういえば、ゴミ箱に大量に入ってたチョコはどうしたんだ?」
あちゃ〜、見られてたか。
まぁ、隠すことでもないんだけど。
「学校の女子共が大量にくれたやつだよ。はぁ、僕は郁人のチョコ以外要らないって言うのにさ。」
きょとんとする僕の彼女。うん、この様子からして僕へのチョコは用意して無いな。
いや、別に期待なんかしてなかったけど!!
鈍感な僕の彼女のことだ。きっと今日がバレンタインだってことすらも忘れていたに違いない。
すると、僕の思いが伝わったのか
「あ、ごめん。俺も用意しとくべきだった。」
「え、いや全然!またホワイトデーとかでもいいからさ!!」
謝らせるために言ってないのに!しょぼんとしてる彼も可愛いけど!!
あ、そうだ。これだけ彼に確認しとかなければ。
「郁人?チョコ他の奴から貰ったりしてないよね??」
一応、全部阻止したはずなんだけど、、、
「そうそう、今年は何故か結城以外からもらわなかったんだよな。いつもなら、机にも靴箱にも入ってるのに。」
よかった〜。
っていうか、僕の彼女あまりにも鈍感すぎない?
いつか、騙されて連れて行かれちゃいそうで心配だな…
まぁ、その時は犯人を滅多刺しにしてやるけどね。
「本当にありがとうな。お返しはちゃんとするから。それじゃ俺、まだ学校の課題残ってるから、少し勉強してくる。」
「はーい!」
えへへ、郁人からチョコは貰えなかったけど、渡せて良かった!!
コメント
1件
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!! 皆が幸せそうで良かった〜!!!(?) って言うかツキちゃんの彼氏、 束縛が激しいけど一応…確か!!!(?) 自分にも厳しいタイプなんだよねー… ちゃんとしてるって言うべきなのか、 いつも通りって言うべきなのか…(?) 次回も楽しみに待ってるね!!!!