パキッと 大げさに割り箸を割る。
パンッと 大げさに手を合わせてみる。
『いただきます』
akn「……ぁ、いただきます……、」
明那の顔は見たくなかった。傷つけたくなかったし、傷つきたくなかった。
カウンター席でよかった。
『……うま! なにこれうますぎる』
akn「……でしょ、やっぱ味噌なんよな」
『わかる〜』
普通の声を保ち続けることで精一杯なのに、
(あ、水、)
箸を置いて、コップに手を伸ばしたとき、
ふと視界の端で明那が映った。
『……なんて顔してんの』
あまりにも あまりにもな表情だったから、私は思わず口にしてしまう。
akn「……それは、そっちもじゃん」
『私も?』
「たぶん今俺たち、世界一すごい顔してラーメン食べてるよ」
私はスマホを鏡代わりにして、自分のすごい顔を確認する。
……すごい苦しそう。泣きそうで、つらそうで、痛そう。
こんなどうしようもない顔で、明那に好きと言ってしまったのか。
苦しかったもんね、確かに と、私は私に頷いておく。
それから、
『……もう一回、ちゃんと言っていい?』
とりあえず、ラーメン食べてから。
明那の目を見てそう言うと、明那も私の目を見つめたまま頷いた。
そういうところも好きなんだよ と思う。
ラーメン屋を出ると、すっかり夜の匂いになっていた。
コメント
4件
うぁぁぁ!あきにゃ!やばい、口から心臓吐きそう
心臓バクバク.ᐟ