この気持ちは、いつ芽生えたんだっけ。
明那との記憶を辿る。
今年の冬休み最終日は、
下宿へ戻ってきていた明那とふたりで蕎麦を食べに行った。
割り箸がきれいに割れなくて、明那にしこたま笑われた。
初笑いだって言われて驚いたら、「うっそー! 信じた? もう十日以上経ってるやん」
と返されて、感情がジェットコースターになった。
けたけたと笑いながら、明那に「初嘘は菜央だから!」と言われて、もう全部許した。
この頃にはすでに好きだったのだと思う。
去年の秋に、5限の授業が同じだったメンバーで線香花火をした。
誰の火玉が最後まで燃えているかという勝負で、明那が勝った。
akn「待って俺じゃん! イエー…………あ、落ちた」
私のスマホの画像フォルダには、表情がコロコロと変わる明那の動画が残っていて、
何度も見返しては元気をもらっている。
1回生の、まだ明那と仲良くなって間もない頃、
私は明那とラーメン屋へ行きたかった。
放課後、先輩からおいしいと聞いた裏門のラーメン屋へ行って、
ずるずる啜って、他愛のない話をして、夜風に肌を撫でられたかった。
進級しても卒業しても仲良くしてね 、 友達でいてね って言いたかった。
その気持ちは、ずっと、変わっていないはずなのに
『……改めて言うね。私、明那のことが好きなんだ。』
『人としても、友達としても、それ以上の意味でも』
隣を歩く明那は、私の横顔を見ているようで、その先の夜を見つめている気がする。
私はといえば、夜風に揺れるメッシュをときどき視界に入れている。
立ち止まって、相手の目を見て話す勇気は出なかった。
『明那といると楽しい。大げさって思うかもしれないけど、この大学に来てよかったって心から思うよ。』
『明那と同じ年に生まれて、同じ大学に通えて、友達になれて。本当によかった』
私の言葉が息継ぎをするたび、明那は頷いてくれる。
心地の良い相槌に、緊張の紐が少しずつ解けていく。
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コメント
4件
あきにゃ、?あきにゃどう答えんの、、、!? 気になりすぎて夜しか眠れない、(?)
あきにゃどうだ?